専攻医インタビュー

【長野/北アルプス医療センターあづみ病院→整形外科専攻医インタビュー】肩関節、上肢の手術は長野県内トップレベル!地域柄スキー外傷も受け入れる2次救急病院

肩関節治療センター・上肢再建外科センターを設置
腱板断裂の手術は年間100件以上

私がお答えします

【 伊藤 槙太郎(いとう しんたろう)医師 】
出身地:長野県
卒業大学:帝京大学医学部
2020年 松本協立病院(長野県)初期研修
2021年 北アルプス医療センターあづみ病院 整形外科専攻医

ユーモアあふれる職場!診療科全体の年間手術件数は約1000件

北アルプス医療センターあづみ病院を選んだ理由は?他院を検討した?

── なぜ整形外科に興味を持ったのでしょうか

伊藤医師: 最初に興味を持ったのは小学生時代です。私はそそっかしい子どもで、手や腕をケガしては、整形外科でお世話になっていました。当時は、整形外科医に憧れがありました。
そのことは一旦忘れており、初期研修を受けた松本協立病院の先生から、「うちの内科に来てくれないか」とお誘いをいただいていました。それもあって、研修医初期は内科医になるつもりでした。しかし日増しに、「一回限りの人生だしなぁ」と幼少期からの憧れだった整形外科への想いも強くなりました。初期研修2年目の冬とかなり遅くのことでしたが、内科に後ろ髪は引かれつつも、結局は幼少期の気持ちに従うことにしました。

── 内科と比較した結果、整形外科を選んだのですね

伊藤医師: はい。なんと言いますか、内科には心苦しい症例も数多くあります。一方、整形外科は骨折など運動器の疾患がメインになります。私はどちらかというと体の運動機能の再建に興味があり、最終的には整形外科を選びました。

── 長野県内で専門研修プログラムを選んだ理由はご出身だからでしょうか

伊藤医師: それもありますが、一番の理由は時間的猶予がほとんどなかったからです。研修医2年目に進路を決めたので。
時間がないとはいえ、自分なりにはじっくりと入職先を吟味したつもりです。私の調べだと、当時長野県内で整形外科の専門研修プログラムを受けられるのは4、5病院とわずかでした。大学病院も検討したものの、大学だと医局の関係で、10年以上も勤務先に縛りが生まれるため、縛りは自分には向いていないと思いました。それでいくと、当院は県内の市中病院では、整形外科医の数が最多級であり、スペシャリストも多彩に揃っていました。整形外科に関連する技術は隙なく学べると思い、「整形外科医を目指すにはあづみ病院が一番いいかな」。そう考えました。

── 病院見学で北アルプス医療センターあづみ病院にどのような印象を持ちましたか

伊藤医師: 設備も当然素晴らしいのですが、働いている方々が私にとって魅力でしたね。医師やコメディカルを含めたスタッフの方々、話してみて空気感と雰囲気が心地よかったです。
見学で知れることは限られてはいるものの、当時は入職先として十分安心できました。

絶景のロケーションの中で魅力的な方々と働ける環境

── 研修医と専攻医。病院を変えていますが、一番実感する変化はどのような点でしょうか

伊藤医師: あづみ病院に入職したばかりのころは、環境の変化もあって、よく疲労感を覚えていました。それも今では慣れ、体力、気力の面で問題はなくなったと思います。
専攻医になって感じることとして、裁量権の増加が挙げられます。自分のさじ加減一つで勤務時間を調整できるので、やる日はしっかり、帰るときは早くと、メリハリをつけて働けています。
責任も強く感じています。研修医時代は何をするにも指導医の指示がありましたが、専攻医となって自分の判断と責任で患者さんを診ます。当然、私に大きな責任が生まれます。

整形外科専門研修プログラムの内容は?手術は多い?

── 手術はすぐに経験できますか

伊藤医師: 外科系では、「手術は見て学びなさい」といった職人気質なところがあると思います。しかし当院の整形外科はそんな気質はありません。専攻医1年目4月からいきなり執刀医を任せてもらえるのです。もちろん最初は骨折など簡単な手術から。簡単とはいえ、サポートを受けつつ、最初から最後まで自分で執刀できます。手術の経験時期が早いこともあって、比較的すぐに一人前にはなれるかと。
加えて整形外科には変形性関節症の手術など、より生活をよくするための執刀もあります。このような手術はスペシャリティが高く、簡単な手術とは経験の積み方が異なります。前立ちからじっくり勉強を積み重ね、スキルアップができています。
すぐに執刀できる手術、じっくり学ぶ手術。並行して成長を感じられます。私個人としては、入職即座に「整形外科医をやっているなー」と満足感と充実感を得られました。

すぐに執刀できる手術とじっくり学ぶ手術で、成長を感じることが出来る

── 人工関節の置換術はすでに行っていますか

伊藤医師: 3年目に入ってから、少しずつやらせてもらうようになりました。現在、私が直接外来で診察した患者さんに限り、人工関節置換術が必要となった際に前立ちしています。もっと積極的に希望すれば、よりたくさん経験させてくれると思います。他の経験との兼ね合いで現状はこのようになっています。

── 北アルプス医療センターあづみ病院と近隣病院の症例のすみわけはいかがでしょうか

伊藤医師: すみ分けはあまりないかもしれません。基本的には患者さんが住んでいる近くの病院に搬送されています。これは、患者さんが自分で通いやすいよう配慮してのことですね。3次救急に分類されるような手に負えないような症例は、当院にほとんど搬送されません。松本市の大きな病院に送られています。
2次救急の症例は、整形外科医が充実しているので、当院に多く搬送されている印象です。

── 北アルプス医療センターあづみ病院は整形外科が強く、各科も揃っていますね。3次救急に該当するような外傷以外は受けているのでしょうか

伊藤医師: 全身コントロールが必要な重い外傷はやはり難しい状況です。あとは、放射線科的な治療が必要な骨盤輪骨折なども受け入れられません。しかしそういったものでなければ、だいたい受けています。

── 整形外科全体で手術は何件ほど行っていますか

伊藤医師: 科全体での手術件数は年間約1000件。日によってムラがあるのですが、科全体では1日5~10件の手術が入っています。予定の手術が半分、救急車などの搬送患者さんの手術がもう半分といったところでしょうか。

── 伊藤先生は週に何件ほど手術に関わっていますか

伊藤医師: 1日の手術が0件の日もあれば、4件の日もあります。波はあるものの、均すと週3~5件になります。年間通じて、高齢者さんの股関節周りの骨折は多いですね。
当院周辺は自然が豊かでマウンテンスポーツやハイキングが人気。スキーや山菜採りによる外傷の方も搬送されるので、そういった対応も担当しています。

── 整形外科には肩関節治療センター、上肢再建外科センターがあって、全国的にも知られていますね

伊藤医師: そうですね。肩や上肢は日本屈指のレベルではないでしょうか。これら領域に関して言えば、長野県内で最強です(笑)。県内、どの病院よりもハイレベルだと思います。

指導体制と職場の雰囲気は?

── 整形外科内の雰囲気はいかがでしょうか

伊藤医師: 明るい先生が多く、いつもみんなで笑っています。科全体がユーモアに包まれているのですが、手術などの要所ではシビアで真面目。スイッチの切り替えが上手な先生ばかりです。

── 指導体制はどのようになっていますか

伊藤医師: 指導医の先生は若く、私と年齢が大きくは離れていません。変な距離間はなく、ガツガツと教えてもらえます。学習する環境としては最高だと思っています。

── コメディカルの方との距離感や雰囲気はいかがでしょうか

伊藤医師: 一番お世話になっているのは看護師さんですね。あとは理学療法士、作業療法士などリハビリ担当の方々にもサポートしていただけます。整形外科の手術後は、移動能力が落ちる患者さんも。そのようなケースでは、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなど福祉のスタッフさんと「どうやってご自宅に帰られるようにしましょうか」と密に相談しています。
専攻医1年目のときは、右も左もわかりませんでした。経験値豊富な看護師さんには、本当によくしてもらい、非常に助けてもらいましたね。もう「お母さんのように心強い」。そんな感じすらしています(笑)。

── 整形外科内の専攻医は何名いらっしゃいますか

伊藤医師: 1年先輩が1名、2年後輩が1名です。私を含めると、合計3名となっています。
当院は信州大学医学部附属病院など、他院の関連病院でもあります。現在の整形外科内には、信州大学の先輩2名、同期2名の専攻医が在籍しています。

── 信州大学医学部附属病院とは関係が深いのでしょうか

伊藤医師: 当院は整形外科Ⅱ型(一般病院型)の研修基幹施設。プログラム上、大学病院で学ぶことが義務になっています。私も専攻医4年目となる来年は、信州大学医学部附属病院で学ぶことを検討しています。信州大学が開く勉強会があって、そちらにお邪魔することもしばしば。過去には当院専攻医が、プログラム修了後に信州大学医学部附属病院に入職したと聞いています。

── 多くの研修医が整形外科に回ってくるのでしょうか

伊藤医師: 研修医はわりとたくさんやってくる印象です。それに、医学生も頻繁に研修に来ますよ。
研修医は手術の前立ちや外来の問診、身体診察を研修しています。他にも、私たちと救急車の対応を経験していただきます。

── 整形外科医専門研修プログラム4年間の予定はどのようになっていますか

伊藤医師: 現在は専攻医3年目なのですが、まだ一度も外部の病院には行っていません。ずっと当院にいます。そのぶん4年目となる来年は、まるまる外部病院になりそうです。来年1月から半年間は信州大学医学部附属病院の予定です。 4年目に腫瘍、小児、3次救急などの激しい外傷を学ぶことになっています。

── 現在、外来は持っていますか

伊藤医師: 整形外科として、月~土曜日まで外来があります。私の担当は、火曜日の予約外来、水曜日の救急、新患外来となっています。

── 水曜日の新患は何人ほどでしょうか

伊藤医師: 救急車と新患さんを含めて10~20人となっています。対応しきれない予約外来があれば、水曜日に入れることもあります。

診察室で笑顔で患者さん対応をする伊藤医師

── オペは外来日を除いてほぼ毎日行っているのでしょうか

伊藤医師: はい。外来のない平日は、基本的にオペとなっています。金曜日だけ特殊で、新患対応をする週と、オペの週を交互に受け持ちます。その理由として、当科は金曜日が手薄で、外勤の先生にもお願いしています。私のレジデントに少しゆとりがあったので、整形外科を円滑に回すためにも外勤の先生と交互に入るようになりました。

1日のスケジュールは?当直と待機当番は月何回?

── 1日の勤務スケジュールを教えてください

伊藤医師: 日によってバラバラではありますが、手術日の一例を紹介します。

手術日のスケジュール例
8:00 病院到着
8:15 カンファレンス
8:30 病棟管理
9:00 手術
12:00 昼食
13:00 手術
16:30 カルテ記載、書類仕事
17:00 退勤

整形外科カンファレンスの様子。手術のある日は午前中に行われる

伊藤医師: 昼食時間は変則的です。昼食後2時間ほどのんびり過ごす日もあれば、9時から17時まで1日中手術室にいることもあります。17時以降の勤務ですが、その日までに終わらせないといけない仕事を課されることはほとんどありません。その時間帯では、翌日のオペの勉強やカルテの追記などといったことをしています。

── 土日の勤務はいかがでしょうか

伊藤医師: 当院は4週8休制です。日曜日は休みです。土曜日は、たまに当直もしくは待機当番が入ります。

── 待機当番はどのようなものでしょうか

伊藤医師: 月2~4回ほど当番が回ってきます。一例としては、内科の先生が当直、骨折や外傷といった処置が難しい症例と出くわしたときに呼ばれます。待機当番の日は、自宅に帰ることを認められていますが、呼ばれたらすぐに行けるよう準備しておきます。呼ばれる頻度は待機当番3回のうち1回程度です。

── 当直は月に何回ほどでしょうか

伊藤医師: 月2回です。私は「当直させてください」と自分から希望を出したので、月3~4回は入っています。

── 当直明けは何時までの勤務でしょう

伊藤医師: 手術や外来等、どうしてもやらなければいけない仕事がなければ8時30分以降に帰宅できます。当直は希望日を出すことができるので、当直明けを取りたい日は手術や外来が入っていない日を選ぶようにしています。

── 当直で内科系の疾患はいかがでしょうか

伊藤医師: 研修医時代に松本協立病院でしっかり仕込んでもらったので、困ってはいません。ただ、研修時代と病院を変えたので、患者さんを受けられるかどうかの判断に慣れるまで時間がかかったかもしれません。具体的には急性期の脳梗塞や脳出血、頭部外傷といった症例です。当院には脳神経外科がないこともあって、研修医時代とは勝手が違いました。

病院周辺は過ごしやすい?

── 現在のお住まいはどちらでしょうか

伊藤医師: 私は当院のすぐ近くに住んでいます。余談ですが、当院周辺は雪がめったに積もらないので、長野県内では通勤しやすいほうではないでしょうか。

── 病院近隣の生活環境はいかがでしょうか

伊藤医師: 長野県内で栄えている松本市まで車で約50分。ちなみに私の生まれは長野県の安曇野といって、当院から車で約20分のところです。車がなくても生活できないことはありませんがあった方がいいです。

── 休日の過ごし方はいかがでしょうか

伊藤医師: 待機や当直がなければ、遠出も問題なくできます。当院周辺は魅力的な山が多いので、登山を楽しんでいます。車で新潟までリフレッシュしに行くこともあります。
食事に関しても、自炊をもっとがんばる予定ではありましたが、結局は外食ばかり。ただ、ファミリーレストラン中心にお店が結構豊富です。飽きは感じません。

休日は病院周辺で登山をして自然を満喫している

北アルプス医療センターあづみ病院の魅力と長所

── 専門研修プログラム修了後の展望を教えてください

伊藤医師: 当科の股関節に長けた先生方から、「外の病院で修行してから戻ってくるのもいいよ」とアドバイスをいただいています。それを踏まえて検討中です。

── 専門研修プログラムを通して、あらためて感じている北アルプス医療センターあづみ病院の特徴はどこでしょうか

伊藤医師: やはり肩関節と上肢の領域を学びたい医師には向いていると思います。年間手術件数1000件のうち、肩関節と上肢の手術件数は600件で症例数、医師のレベルが県内トップクラスですね。
一方で、同期が少ないのは情報交換ができず自分の研修が順調かわからないため心配になることがありましたが、指導医に聞くと、「問題ないよ、今のままで大丈夫」と言ってはいただけます。
同期が少ない分、症例を独り占めできたり、手厚い指導を受けることができるのは魅力です。

── 専門研修を検討している後輩にアドバイスをお願いします

伊藤医師: 私の経験上、1日や2日の見学だと、病院のことはほとんどわかりません。当院に限らず、見学では先生や医局の雰囲気を感じて欲しいですね。「あの先生どんな方なのだろう?どういう先生が働いているのかな?」そんなところを見るといいと思います。もし当院の整形外科に興味があったら、ぜひ見学にお越しください。しっかり雰囲気をお伝えさせていただきます。

―― 伊藤医師、ありがとうございました。

北アルプスと田園風景

雪の北アルプス

専攻医・シニアレジデント研修時の処遇

整形外科募集人員
3名
勤務時間(定時)
平日 8:30~17:00
土曜 8:30~12:30
当直
月2回
休日・休暇
4週8休制、年末年始
給与
専攻医1年次:
月給 750,000円/年収 10,000,000円
専攻医2年次:
月給 830,000円/年収 11,500,000円
専攻医3年次:
月給 870,000円/年収 12,000,000円
専攻医4年次:
月給 900,000円/年収 12,500,000円

手当:扶養手当、通勤手当、当直手当、医師貢献度手当、住宅手当月75,000円
賞与:年2回

 

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