こんにちは。「医学英語カフェ」にようこそ。
ここは「コーヒー1杯分」の時間で、医学英語にまつわる話を気軽に楽しんで頂くコーナーです。
本日のテーマは「血管炎に関する英語表現」です。
医学生と話していると、「血管炎」に苦手意識を持っている方が多いことに気づきます。その理由としてまず挙げられるのが「名前が難しい!」ということです。確かに eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (EGPA) や hypocomplementemic urticarial vasculitis (HUV) のような長い名称を見ると、それだけで苦手意識を持ってしまうのも無理はありません。
またそれぞれの疾患には正式な英語名称だけでなく、別称まであります。さらに血管炎は疾患の数も多く、後から思い出そうとしても頭の中でうまく整理できないという学生も少なくありません。
そこで今月は「血管炎」を少しでも得意分野に変えられるように、「血管炎に関する英語表現」をご紹介します。
Vasculitis? Vasculitides? Angiitis? ややこしい「血管炎」の英語
まずは「血管炎」の英語表現から見ていきましょう。
「血管炎」は英語では vasculitis と表現し、「ヴァスキュラィティス」のように発音します。これは「小さな血管」を意味するラテン語の vasculum に由来する vascul– に、「炎症」を表す接尾辞 –itis が付いた表現です。
この vasculitis の「複数形」として使われるのが vasculitides で、「ヴァスキュリティディーズ」のように発音します。一つの病態として「血管炎」を述べる場合には vasculitis を使いますが、種類の異なる複数の血管炎をまとめて述べる場合には、“The vasculitides are classified according to the size of the affected vessels.” のように複数形の vasculitides が使われます。
「血管炎」を意味するもう一つの英語に angiitis(「アンジアィティス」のように発音)というものもあります。ただしこの表現は thromboangiitis obliterans「閉塞性血栓血管炎」や granulomatosis with polyangiitis「多発血管炎性肉芽腫症」のように、他の要素と組み合わされて疾患名の中で使われることが一般的です。「血管炎」という病態を単独で表す場合には、通常 vasculitis/vasculitides が使われます。
ここで血管を表す英語も確認しておきましょう。心臓から送り出された血液は、artery「動脈」から arteriole「細動脈」へと流れ、capillary「毛細血管」を通過し、その後、venule「細静脈」から vein「静脈」へと流れて心臓に戻ります。したがって後述する small vessels「小血管」には、主に arterioles, capillaries, and venules が含まれるのです。
「動脈炎」は、artery に -itis が付いた arteritis と表現し、「アータラィティス」のように発音します。一方、「静脈炎」は veinitis とは表現しません。こちらは「静脈」を意味する語根 phleb– を使って、phlebitis と表現し、「フリバィティス」のように発音します。
ここで学生さんが混同しやすいのが、arteritis「動脈炎」と arthritis「関節炎」です。arthritis は「関節」を意味する arthr– に –itis が付いた表現で、「アースラィティス」のように発音します。綴りはよく似ていますが、区別して覚えておいてくださいね。
Large? Medium? Small? 血管の大きさで理解する vasculitis
vasculitis は侵される血管の大きさに基づいて、下記の3つに分類されます。
Large-vessel vasculitis「大血管炎」
Medium-vessel vasculitis「中血管炎」
Small-vessel vasculitis「小血管炎」
そして障害される血管の大きさが違えば、現れる症状も変わります。
大血管が狭くなると、その先に届く血液が減少するため、weak pulses「脈拍の減弱」、claudication「跛行(はこう)」などが現れます。
中血管の障害では、臓器を栄養する動脈に ischemia「虚血」が起こり、abdominal pain「腹痛」、skin lesions「皮膚病変」、limb ischemia「四肢虚血」などが現れます。
小血管が障害されると、血管から血液が漏れ出し、purpura「紫斑」、hematuria「血尿」、hemoptysis「喀血」などが現れます。
ただし、全ての血管炎がこの3つにきれいに分類できるわけではありません。あらゆる大きさの血管に炎症を起こす血管炎は、variable-vessel vasculitis「可変血管炎」と分類されます。
この variable-vessel vasculitis の代表が Behçet disease (BD)「ベーチェット病」です。
この名称は、1937年にこの疾患を報告したトルコの皮膚科医 Hulusi Behçet に由来します。Behçet に含まれるトルコ語の ç は英語の ch に近い音ですので、Behçet は「ベチェット」のように発音します。そしてこのような人名に由来する名称を英語では eponym と呼びます。
Behçet disease では、大小さまざまな動脈や静脈が障害されるため、venous thrombosis「静脈血栓症」や arterial aneurysm「動脈瘤」を生じることがあります。代表的な症状としては、recurrent oral aphthous ulcers「反復する口腔内アフタ性潰瘍」、genital ulcers「陰部潰瘍」、uveitis「ぶどう膜炎」、そして erythema nodosum「結節性紅斑」を覚えておきましょう。
ちなみにこの疾患は Behçet syndrome とも呼ばれ、USMLE の資料ではこちらの名称を目にすることも少なくありません。正式名称の Behçet disease に加えて、別称の Behçet syndrome の両方を覚えておきましょう。
2つの Large-Vessel Vasculitis とは?
ではここから障害される血管の大きさによる vasculitis をそれぞれ見ていきましょう。
large-vessel vasculitis は、主に aorta「大動脈」とその major branches「主要分枝」を侵す血管炎です。この分類には giant cell arteritis と Takayasu arteritis の2つがあります。
Giant Cell Arteritis (GCA)「巨細胞性動脈炎」
「巨細胞性動脈炎」の正式な英語名称は giant cell arteritis (GCA) です。この疾患は temporal arteries「側頭動脈」をしばしば侵すため、temporal arteritis とも呼ばれます。
temporal arteritis のように、同じものを指す別の名称を英語では alias と呼びます。ただし GCA は側頭動脈だけを侵す疾患ではないため、より広い病態を表す giant cell arteritis が正式名称として使われています。
GCA は通常50歳以上、特に高齢の女性に多く、新しく出現した headache「頭痛」、頭皮を触ると痛む scalp tenderness「頭皮圧痛」、物を噛んでいると顎が痛くなる jaw claudication「顎跛行」などを呈します。
血液検査では ESR が上昇します。ESR は erythrocyte sedimentation rate「赤血球沈降速度(赤沈)」の略であり、炎症によって fibrinogen などの血漿蛋白が増えると、赤血球が硬貨を積み重ねたような rouleaux formation「連銭形成」を起こし、速く沈むようになります。
GCA で最も注意すべき合併症は、ischemic optic neuropathy「虚血性視神経症」による突然の不可逆的な visual loss です。そのため GCA が強く疑われる場合には、temporal artery biopsy による確定診断を待たずに high-dose glucocorticoids を開始します。
この GCA の典型的な臨床像として、Older Woman + Headache と覚えておくとよいでしょう。
Takayasu Arteritis (TAK)「高安動脈炎」
「高安動脈炎」の正式な英語名称は Takayasu arteritis (TAK) です。Takayasu は、1908年にこの疾患に関連する特徴的な眼底所見を報告した日本人眼科医の高安右人に由来します。略語の TAK は、TAKayasu の最初の3文字に由来します。
TAK は通常40歳未満の若い女性に多く、aorta とその major branches に granulomatous inflammation「肉芽腫性炎症」を起こします。上肢へ向かう動脈が狭窄すると、腕の脈が weak or absent となり、左右の腕で different blood pressures が認められます。また腕を使うと痛みや疲労が現れる upper-extremity claudication を生じることもあります。このため pulseless disease という alias もあります。
典型的な臨床像として、Young Woman + Weak Pulses と覚えておきましょう。
3つの Medium-Vessel Vasculitis とは?
medium-vessel vasculitis では、臓器を栄養する main visceral arteries「主要内臓動脈」とその分枝が障害されます。この分類には Kawasaki disease, polyarteritis nodosa, and thromboangiitis obliterans の3つがあります。
Kawasaki Disease (KD)「川崎病」
「川崎病」の英語名称は Kawasaki disease (KD) です。日本の小児科医である川崎富作医師が報告した疾患であるため、Kawasaki disease も eponym と言えます。小児に見られる acute febrile vasculitis「急性熱性血管炎」であり、特に coronary arteries「冠動脈」を侵すことが重要です。
KD の特徴を覚える有名な mnemonic「記憶法」として、CRASH and Burn があります。C は Conjunctival injection「結膜充血」、R は Rash「発疹」、A は Adenopathy「リンパ節腫脹」、S は Strawberry tongue「いちご舌」、H は Hand-foot changes「手足の変化」を表し、Burn は5日以上続く fever「発熱」を表します。皮疹は polymorphous「多形性」ですが、non-vesicular「水疱性ではない」ということも重要です。
治療で重要なのが IVIG plus aspirin です。IVIG は intravenous immunoglobulin「免疫グロブリン静注療法」の略で、炎症を抑えて coronary artery aneurysm「冠動脈瘤」のリスクを低下させます。aspirin は急性期には抗炎症作用を、回復期には antiplatelet effect「抗血小板作用」を目的として使われます。
典型的な臨床像として、Child + CRASH and Burn と覚えておきましょう。
Polyarteritis Nodosa (PAN)「結節性多発動脈炎」
「結節性多発動脈炎」の英語名称は polyarteritis nodosa (PAN) です。この略語は P-A-N と一文字ずつ読むのではなく、「パン」のように一語として発音します。このように一つの単語として発音する略語を acronym と言います。
この PAN は主として medium-sized muscular arteries「中型の筋性動脈」に necrotizing inflammation「壊死性炎症」を起こし、様々な臓器に虚血性障害を生じさせます。
PAN の主な臓器障害は “SKIN” という表現で整理できます。
S: Skin
K: Kidneys
I: Intestines
N: Nerves
皮膚では tender subcutaneous nodules「圧痛を伴う皮下結節」や livedo reticularis「網状皮斑」が見られ、腎動脈の障害によって hypertension (HTN) が起こります。腸管の血流が低下すれば postprandial abdominal pain「食後の腹痛」や gastrointestinal bleeding「消化管出血」が現れ、末梢神経が障害されれば mononeuritis multiplex「多発単神経炎」を生じます。
この PAN でもう一つ重要なのが、“Pulmonary Arteries? No!” という覚え方です。PAN では通常、 pulmonary arteries「肺動脈」は侵されず、pulmonary capillaritis や glomerulonephritis も典型的ではありません。これは肺と腎臓の小血管を同時に障害する GPA や MPA との鑑別に役立ちます。
ですから PAN の典型的な臨床像は、SKIN + Pulmonary Arteries? No! と覚えておきましょう。
Thromboangiitis Obliterans (TAO)「閉塞性血栓血管炎」
「閉塞性血栓血管炎」の英語名称は thromboangiitis obliterans (TAO) です。thrombo- は「血栓」、angiitis は「血管炎」、obliterans は「閉塞させる」という意味です。また Leo Buerger という人名に由来する Buerger disease という eponym を使った alias もあります。
この Buerger disease は日本語では「バージャー病」と表記されますが、英語での Buerger の発音は hamburger の burger と同じ「バーガー」のようになります。
この Buerger disease と綴りが似ていて混同されやすいものに Berger disease がありますが、こちらは IgA nephropathy「IgA 腎症」の alias です。フランス人医師 Jean Berger に由来する Berger は日本語ではフランス語のように「ベルジェ」と発音されますが、英語では「ベアジェイ」に近い発音になります。Buerger disease と Berger disease は、綴りも発音も疾患も異なるので注意してくださいね。
この TAO は特に若い heavy smokers に見られ、手足の small- and medium-sized arteries や veins に segmental inflammation と thrombosis を起こします。その結果、手足を使った際の claudication、寒冷刺激などで指趾の色が変わる Raynaud phenomenon、指先や足先への血流が低下する digital ischemia などが現れます。虚血が重症化すると tissue death「組織壊死」である gangrene に至ることもあります。
典型的な臨床像として、Smoker + Digital Ischemia と覚えておきましょう。
7つの Small-Vessel Vasculitis とは?
small-vessel vasculitis は、arterioles, capillaries, and venules を侵す血管炎です。小さな血管は全身に分布しているため、小血管炎では皮膚、腎臓、肺、末梢神経などに多彩な症状が現れます。
皮膚の小血管が障害されて血液が漏れ出すと、指で触れることのできる紫斑である palpable purpura が現れます。糸球体の毛細血管が障害されると hematuria「血尿」が、肺胞の毛細血管が障害されると hemoptysis「喀血」が起こります。
そして7つの small-vessel vasculitis は、大きく2つのグループに分けられます。
一つは ANCA と関連する3つの ANCA-associated vasculitis (AAV)、もう一つは免疫グロブリンや補体の沈着と関連する4つの immune-complex mediated vasculitis です。
ANCA は何の略? 3つの ANCA-Associated Vasculitis
ANCA は antineutrophil cytoplasmic antibody「抗好中球細胞質抗体」の略です。蛍光抗体法で細胞質全体が染まる cytoplasmic pattern を c-ANCA、核の周囲が染まる perinuclear pattern を p-ANCA と呼びます。
そしてこの3つの ANCA-associated vasculitis に共通する病理学的な特徴が pauci-immune です。pauci– は「少ない」という意味で、免疫蛍光染色で免疫グロブリンや補体の沈着がほとんど見られないことを表します。「免疫反応が弱い」という意味ではなく、強い血管炎があるのに immune deposits「免疫沈着」が少ないという意味ですので、注意してくださいね。
Granulomatosis with Polyangiitis (GPA)「多発血管炎性肉芽腫症」
「多発血管炎性肉芽腫症」の英語名称は granulomatosis with polyangiitis (GPA) です。以前は Wegener granulomatosis と呼ばれていましたが、現在ではこの人名を使わない記述的な名称が正式名称となっています。
GPA は granulomatous inflammation を伴い、nose, lungs, and kidneys を障害します。ですので chronic sinusitis「慢性副鼻腔炎」や nasal crusting「鼻腔内痂皮」などの上気道症状、hemoptysis などの肺症状、hematuria などの腎症状が組み合わさって現れ、典型的には c-ANCA と関連します。
特徴的な組み合わせとして、Nose + Lungs + Kidneys と覚えておきましょう。
Microscopic Polyangiitis (MPA)「顕微鏡的多発血管炎」
「顕微鏡的多発血管炎」の英語名称は microscopic polyangiitis (MPA) です。MPA でも lungs and kidneys が障害されます。GPA や MPA のように肺と腎臓が同時に障害される病態を pulmonary-renal syndrome「肺腎症候群」と呼びます。
MPA は典型的には p-ANCA と関連します。GPA と異なり granulomatous inflammation を伴わず、上気道の肉芽腫性病変も典型的ではありません。
典型的な臨床像として、Lungs + Kidneys + No Granulomas と覚えておけば、GPA との違いを意識することができます。
Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis (EGPA)「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」
「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」の英語名称は eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (EGPA) です。以前は Churg-Strauss syndrome という eponym で呼ばれていました。
EGPA では、成人発症の asthma「喘息」と著明な eosinophilia「好酸球増多」が重要です。さらに
eosinophilic inflammation「好酸球性炎症」と小血管炎によって、pulmonary infiltrates「肺浸潤影」、chronic rhinosinusitis「慢性副鼻腔炎」、皮膚病変、そして mononeuritis multiplex などが現れます。
臨床的には、Asthma + Eosinophilia と覚えておきましょう。
4つの Immune-Complex Mediated Vasculitis とは?
immune complex「免疫複合体」は、antigen「抗原」と antibody「抗体」が結合したものです。この免疫複合体が小血管の壁に沈着すると complement「補体」が活性化され、好中球が集まって血管壁を傷害します。免疫沈着が少ない pauci-immune vasculitis とは対照的に、immune-complex mediated vasculitis では免疫グロブリンや補体の沈着が重要になります。
Hypocomplementemic Urticarial Vasculitis (HUV)「低補体血症性蕁麻疹様血管炎」
「低補体血症性蕁麻疹様血管炎」の英語名称は hypocomplementemic urticarial vasculitis (HUV) で、別称は anti-C1q vasculitis です。正式名称はとても長いですが、hypocomplementemic は「ハイポコンプリメンティーミック」、urticarial は「アーティケアリアル」のように発音します。hypo- は「低い」、complementemic は「血液中の補体」、urticarial は「蕁麻疹様の」という意味ですので、単語を分けて考えると覚えやすくなります。
HUV では urticaria「蕁麻疹」のように見える皮疹が繰り返し現れますが、通常の hives と異なり、一つの病変が24時間以上続き、消えた後に色素沈着を残すことがあります。さらに arthralgia「関節痛」や全身症を伴い、血液検査では complement levels が低下します。C1q に対する自己抗体が見られることから anti-C1q vasculitis とも呼ばれます。
典型的な臨床像として、Urticaria + Low Complement と覚えておきましょう。
Cryoglobulinemic Vasculitis (CV)「クリオグロブリン血症性血管炎」
「クリオグロブリン血症性血管炎」の英語名称は cryoglobulinemic vasculitis (CV) です。これは、低温で沈殿する cryoglobulins「クリオグロブリン」が小血管に沈着して起こる血管炎です。特に mixed cryoglobulinemia (MC)「混合型クリオグロブリン血症」に伴って生じることが多く、chronic hepatitis C virus infection との関連がよく知られています。発音が難しい cryoglobulinemia は「クライオグロビュリニーミア」のように発音します。cryo- は「冷たい」、globulin は「球状蛋白」を意味します。cryoglobulins は低温になると沈殿し、温めると再び溶ける性質を持つ免疫グロブリンです。これらが免疫複合体として小血管に沈着することで血管炎を起こします。
典型的な臨床像として、HCV + Cryoglobulins と覚えておきましょう。
IgA Vasculitis (IgAV)「IgA 血管炎」
「IgA 血管炎」の英語名称は IgA vasculitis (IgAV) です。以前は Henoch-Schönlein purpura (HSP) という eponym で呼ばれていました。
IgAV は小児に多く、upper respiratory infection「上気道感染」の後に発症することがあります。特に下肢や臀部に palpable purpura が現れ、abdominal pain などが見られます。
典型的な臨床像として、Child + Purpura + Abdominal Pain と覚えておきましょう。
Cutaneous Small-Vessel Vasculitis (CSVV)「皮膚小血管炎」
「皮膚小血管炎」の英語名称は cutaneous small-vessel vasculitis (CSVV)です。cutaneous は「皮膚の」という意味で、病変が主に皮膚の小血管に限局することを表しています。下肢を中心に palpable purpura「触知可能な紫斑」が現れ、薬剤や感染症が誘因となることがあります。
ここで anti-glomerular basement membrane disease、略して anti-GBM disease「抗糸球体基底膜病」にも触れておきましょう。
これは正式な Chapel Hill 分類では small-vessel vasculitis に含まれますが、USMLE の教材では rapidly progressive glomerulonephritis「急速進行性糸球体腎炎」や、前述した pulmonary-renal syndrome「肺腎症候群」の一つとして扱われることが一般的です。
anti-GBM disease では、抗 GBM 抗体が肺と腎臓の basement membrane「基底膜」を障害し、hemoptysis と hematuria を起こします。この肺と腎臓の病変を伴う病態は Goodpasture syndrome とも呼ばれ、免疫蛍光染色では linear IgG deposition「IgG の線状沈着」が見られます。
典型的な臨床像として、CSVV は Purpura + Skin Only と、anti-GBM disease/Goodpasture syndrome は Lungs + Kidneys + Linear IgG と覚えておきましょう。
さて、そろそろカップのコーヒーも残りわずかです。最後に、今回ご紹介した vasculitides を、典型的な臨床像を表す短い英語表現とともに振り返りましょう。血管の大きさと結びつけながら、繰り返し思い出してみてください。
Variable-Vessel Vasculitis
- • Behçet disease (BD): Oral Ulcers + Genital Ulcers + Uveitis
Large-Vessel Vasculitis
- • Giant cell arteritis (GCA): Older Woman + Headache
- • Takayasu arteritis (TAK): Young Woman + Weak Pulses
Medium-Vessel Vasculitis
- • Kawasaki disease (KD): Child + CRASH and Burn
- • Polyarteritis nodosa (PAN): SKIN + Pulmonary Arteries? No!
- • Thromboangiitis obliterans (TAO): Smoker + Digital Ischemia
Small-Vessel Vasculitis
ANCA-Associated Vasculitis
- • Granulomatosis with polyangiitis (GPA): Nose + Lungs + Kidneys
- • Microscopic polyangiitis (MPA): Lungs + Kidneys + No Granulomas
- • Eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (EGPA): Asthma + Eosinophilia
Immune-Complex Mediated Vasculitis
- • Hypocomplementemic urticarial vasculitis (HUV): Urticaria + Low Complement
- • Cryoglobulinemic vasculitis (CV): HCV + Cryoglobulins
- • IgA vasculitis (IgAV): Child + Purpura + Abdominal Pain
- • Cutaneous small-vessel vasculitis (CSVV): Purpura + Skin Only
では、またのご来店をお待ちしております。
「Dr. 押味の医学英語カフェ」では、読者の皆さまがこの連載で取り上げてほしい医学英語のトピックを募集しています。こちらのリンクよりご希望のトピックを自由に記載してお送りください。
国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター 教授
押味 貴之


