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2022年のクリニック開業について|税理士法人 和

プロフィール

税理士法人和

税理士法人 和(なごみ)は、平成4年創業、本社は大阪市中央区。東京都千代田区に支社。クライアント数、約1,000件。医業経営コンサルタント協会会員、TKC全国会医業・会計システム研究会会員、TKC全国会資産対策研究会会員、日本M&Aセンター理事会員、JPBM医業経営部会会員、一般社団法人メディカルスタディ協会監事。

地区医師会の顧問や医療機関へのアドバイス等の医業経営コンサルティングと、出資持分のない医療法人への移行などの事業・財産承継を中心とした資産税コンサルティングに強みを持ったサービスを提供している。厚生労働省委託事業や金融機関等でのセミナー講演は年間40回以上にのぼる。主な著書に『ドクターのための医院の財産承継&相続パーフェクト・マニュアル』(すばる舎)ほか多数。
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新型コロナウイルスの拡大で2020年のクリニック開業は減少しました。ただし、理由の多くは国際的な流通の停滞から開業に必要な様々な資材(建築資材や医療機器など)が調達できなかったり、そもそも、クリニックに供される建物が竣工しなかったり、計画を進めようにも面談ができなかったりなど、医業界の問題ではないところが多く、それらが解消されつつある現在では、どちらかというと新規開業件数が増加傾向にあります。
また、増加傾向にある理由としては、明確に次の2つが影響していると思います。

①新型コロナウイルス感染拡大に伴って廃業する
クリニックが増加
②医療機関のM&A件数の増加

①新型コロナウイルス感染拡大に伴って廃業するクリニックが増加

これまでは医師自身が高齢であっても、病気などで体が動かないなどの理由がなく、患者がある程度来院している間は廃業されませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、そういった医院の主な患者である高齢者(長いクリニックは新規患者が少なくなり、旧来から診ている患者が中心となるため)を中心に外出をしなくなり、結果として強烈な受診抑制が働いてしまった結果、医師として続ける意義(地域医療への貢献)がなくなり、廃業を選択するクリニックが増加しました。

②医療機関のM&A件数の増加

これまでは開業した場合、親族が承継するパターン以外は自然閉院による廃業(①以外)という選択肢がほとんどで、クリニックを譲渡するという考えは、一般企業の譲渡ほど広く考えられておりませんでした。しかし、近年になり、クリニックも一般企業と同じように譲渡による第三者承継を考えるようになってきました。増加してきた理由は明確ではありませんが、譲渡をする場合の行政手続きや譲渡金額を算定する評価手法や基準が浸透してきたことから、譲渡に際してトラブルが起きることが少なくなってきたことも理由の1つかと思います。

つまり、2022年のクリニック開業市場は「2020年頃からの計画が遅れた開業」に加え、「廃業が進んだことによる開業意欲の増加」、「M&A増加による形式上の新規開業の増加(個人診療所の場合は旧院長が廃業のうえ、新院長が開業となるため)」という3つの要因から開業数全体が多くなっていると思います。


2023年以降も「自主的な廃業」と「M&A」は増加の一途だと思います。なぜなら、厚生労働省の発表にあったように、診療所の医師の平均年齢は28年ぶりに60歳超となる60.2歳(2020年末の時点)で、開業医の平均年齢が上がってきているからです。また、それに加えて、帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査」(2020年)によると「病院・医療」は73.6%(全業種平均は65.1%)で、合わせて考えると、後継者不在の高齢化したクリニックが多数あるということになります。結果、先述の「自主的な廃業」と「M&A」が増えるということになります。

これまでは、新規開業に適している場所を探すには既存のクリニックのある場所を避けて探す必要がありましたが、今後は、希望の地域に既存のクリニックがあっても狙って行くことが可能になるでしょう。

例えば、勤務している病院の患者を誘引したい場合の門前クリニックや、ハブとなる駅の駅前など、昔から狙い目の場所には昔からクリニックがあります。しかし、そういったクリニックも高齢化し後継者不在という状況にあるところが増えております。今後は、いち早くそういったクリニックを探して、承継開業するというのが、開業の成功パターンとなるかもしれません。情報を広く集めていい案件を見つけていきましょう。