マッチング広場

長野出身の初期研修医が語る──地平線の見える病棟で学ぶ、北海道・網走のあたたかい研修環境

私がお答えします

【 花岡 大地(はなおか だいち) 医師 】
26歳 初期研修医1年目
出身地:長野県
出身大学:信州大学医学部
所属:JA北海道厚生連 網走厚生病院(199床)
将来の希望進路:泌尿器科もしくは消化器外科
趣味:車の整備、登山、スキー・スノーボード、旅行

コモンディジーズから3次救急まで幅広く学べる

北海道旅行で「雄大な自然」に惹かれて移住を検討

── 北海道で初期研修を受けようと思ったきっかけを教えてください

花岡医師: きっかけは、大学3年生のときの北海道旅行です。当時、コロナ禍の移動制限が解除され、「久しぶりに遠出したい」と思い、利尻島や礼文島を訪れました。私の出身地である長野県は、山が密集しており、囲まれています。対して北海道は、水平線まで見える雄大な景色が広がっていて、開放感を覚えたのです。
「一度は北海道に住んでみたい」
その思いから、この地で初期研修を考えるようになりました。

── 北海道のなかでも網走市を気に入った理由を教えてください

花岡医師: 医学部時代、北海道内のどこで初期研修を受けるかを考えた際、2年間だけ札幌のような都会で研修することにもの足りなさがありました。その点、網走市は、自然豊かな道東地域に位置していて、冬になれば海辺は流氷で神秘的な景色が広がります。気候面でも、道内では積雪がそこまで多くなく、冬の気温も道内では比較的穏やかなほうです。そのような網走の気候や立地面に惹かれ、興味を持ちました。

水平線まで続くオホーツクの海。

4年生と5年生で2度北海道の病院を見学

── 見学はいつ頃、行いましたか

花岡医師: 4年生の春休みに網走厚生病院と名寄市立総合病院、それと5年生の春休みに再び網走厚生病院と、北見赤十字病院を見学しました。

── マッチング時の順位登録はいかがでしたか

花岡医師: 第1希望に網走厚生病院、第2希望に北見赤十字病院を登録しました。北見赤十字病院は3次救急で搬送数も多く、高度な症例や医療を学べる特徴があります。一方で、私はまず医師としての基礎をしっかり固めたいと考えており、2次救急でコモンディジーズに多く触れ、総合的な力を養いたいという希望がありました。そのため、自分の志向に合う網走厚生病院を第1希望にしました。
なお、網走厚生病院は2次救急ですが、厚生連のネットワークを通じて帯広厚生病院などで3次救急にも触れられます。また、見学時には数日しか滞在しない私にも「よく来てくれたね」とあたたかく声をかけてくださり、その雰囲気がとても心地よく、安心感につながりました。

初期研修の特色──小規模だからこその距離感と充実感

── 研修を通じて印象に残っている診療はありますか

花岡医師: 内科の新患外来や入院後の経過説明では、患者さんとお話しする機会が多く、その一つひとつが印象に残っています。「分かりやすく説明してくれてありがとう」と感謝の言葉をいただけたときには、責任の重さと同時に、信頼関係を築く大切さを強く実感しました。また、IC(インフォームド・コンセント)を担当させていただく機会もあり、それも貴重な経験として記憶に残っています。

── 医局内の雰囲気について教えてください

花岡医師: 網走厚生病院では、全診療科が同じ医局スペースを共有しているため、他科の先生とも毎日顔を合わせ、診療科の垣根を越えた会話が自然に生まれます。学閥もなく、出身大学による壁のようなものも感じません。

他科の先生から「昨日の救急はあの後どうだった?」と声をかけてもらったり、「こんな手技があるけど、やってみる?」と誘っていただいたりと、私たち研修医にも非常に温かく接してくださいます。この距離感や親しみやすさは、大病院ではなかなか得がたい魅力だと思います。
加えて、院内の景色についてもぜひお伝えしたいのですが、病棟9階からはオホーツク海と知床が一望できます。他ではめったに経験できないオーシャンビューの環境には癒されます。

── 指導体制はいかがでしょうか

花岡医師: 指導医の先生ごとに診療科やスタンス、患者さんへの向き合い方が異なり、それぞれの個性が指導にも色濃く反映されています。「この先生はこう考えておられるのか」と気づかされることが多く、日々多くの刺激を受けています。さまざまな視点に触れながら学べる環境であり、とても充実しています。

── コメディカルとの距離感はいかがでしょうか

花岡医師: みなさんすごくフレンドリーです。廊下ですれ違えば、笑顔で挨拶や軽い雑談がありますし、何か質問すれば丁寧に教えてくれるので、とても学びやすい環境です。

同期と所属医師の構成──経験豊富な先生が身近に

── 初期研修医・専攻医や上級医の構成を教えてください

花岡医師: 現在、当院にはおよそ25名の医師が在籍しています。初期研修医は私を含めて1年目が2名で、2年目は現在不在です。専攻医は1名、そして65歳以上のベテランの先生方も多く勤務されています。
院長や副院長など、10年以上勤務している先生もおり、医局派遣の先生は2〜3年ごとに入れ替わっています。派遣元は主に北海道大学や旭川医科大学です。このように幅広い世代や背景を持つ先生方が集まっていますが、診療科や医局の垣根を越えて気軽に話せる雰囲気があります。

── 道外出身の医師はいますか

花岡医師: 半分ほどは道外出身です。

── 地域医療において総合診療科が注目されることが多いですが、網走厚生病院ではどのようになっていますか

花岡医師: 当院には総合診療科は設置されていませんが、「専門外だから診ません」という雰囲気はなく、全ての診療科の先生方が協力しながら幅広い症例に対応しています。各分野のスペシャリストでありながら、同時にジェネラリストとしての視点も持ち合わせているのが特徴です。

待遇・生活面──家賃1万3000円の公宅で安定した生活

── 奥さまは信州大学の同期で、現在はご夫婦で網走厚生病院初期研修医をなされていますね

花岡医師: はい。妻とは一緒に網走厚生病院に入り、初期研修1年目の今年結婚しました。休日は二人で近郊の温泉に行ったり、地元の市場に出かけて地元の新鮮な魚を買ったりしています。道外で暮らした経験があるからこそ、北海道の広さや自然の恵みを夫婦で楽しめることが大きな魅力です。

休日の風景も、北海道仕様。白鳥が集まる冬の湖畔

── 待遇面はいかがでしょうか

花岡医師: 都会の病院に比べると、給与は高めだと思いますが、道内で見ると中程度といったところでしょうか。病院近くの公宅(3LDK、家賃1万3000円)に妻と暮らしており、経済的には安定しています。公宅は広くてきれいで、とても快適です。

── 交通の利便性や日々の買い物などはいかがでしょうか

花岡医師: 公宅が病院から近く、通勤は徒歩でおよそ10分です。通勤途中にはスーパーやドラッグストアがあり、日常の買い物は徒歩圏内でほとんど済ませられます。網走市内にはユニクロやニトリなど、生活に必要な店舗も揃っており、生活のほぼすべてが市内で完結しています。
近所のスーパーでは地元で獲れた新鮮な海産物が当たり前のように手に入るなど、食の面でも非常に恵まれています。ただし電車の本数は少ないため、遠出をするときは車を使うことが多いですね。

── 長野県への帰省は行えていますか

花岡医師: 病院から車で約30分かければ女満別空港があって、東京まで飛行機でいけます。東京までは、およそ2〜3時間で、そこから特急で長野に向かいます。全体でおよそ5時間かかりますが、飛行機の便数が限られているため、スケジュールをうまく調整する必要があります。それでも年に数回のことなので、大きな不便は感じていません。

病院の特徴・研修の連携状況について

── 院外の研修について教えてください

花岡医師: 網走厚生病院の初期研修プログラムでは、帯広厚生病院(3次救急)で3カ月間研修を行います。同じ北海道内とはいえ約200km離れているため、自宅からの通勤は現実的ではなく、その期間は現地で生活しました。同じ厚生連グループであることから住宅補助もあり、生活面で困ることはありませんでした。
帯広では当院ではあまり経験できない3次救急など、多彩な症例に触れることができ、非常に貴重な経験となりました。また、初期研修では当院から徒歩15〜20分の北海道立向陽ヶ丘病院にもローテーションします。北海道内の複数の提携施設で研修できる点が、当プログラムの大きな魅力だと感じています。

── 当直における救急はいかがでしょうか

花岡医師: 当直は月に4回ほど担当しています。救急車の受け入れは多い日で10台前後、平均5台ほどです。当直中の患者数は、1日あたり15件近くになります。
当院は2次救急病院ですが、北見市の一部・網走市・斜里町・清里町など、広大な医療圏をカバーしています。なかには1時間以上かけて搬送される患者さんもおり、ときには3次救急に近い重症例が運ばれることもあります。こうした救急の現場は、広大な北海道ならではの特徴といえるかもしれません。

北海道の気候と自然──帯広と網走の違いも実感

── 北海道の気候にはなれましたか

花岡医師: まだこちらに来て一度も冬は過ごしていませんが、網走の夏は信州大学周辺よりも涼しく、28℃前後でした。今年はエアコンなしでも快適でした。

── 涼しい気候だと、熱中症の対応は少なくなることもありそうですね

花岡医師: 網走市は真夏でも過ごしやすいのですが、熱中症の患者さんはやはりいらっしゃいます。同じ北海道でも帯広は盆地のため気温が高く、エアコンが必要なほどだったようで、地域によって状況は異なっていたと思います。

── 近年、ヒグマなど野生動物が話題になっていますが変わったことはありましたか

花岡医師: ヒグマと遭遇したことはありませんが、夜に車を運転するとシカやキツネがよく飛び出してきます。先輩の先生がシカと衝突して車が大破したらしいので、運転時は注意しています。

休日は土日祝日──夫婦で小旅行、ドライブも日常

── 休日は土曜日と日曜日でしょうか

花岡医師: 基本的に土日祝日がお休みです。月に1,2回程度、日直勤務が入ります。

── 休日の過ごし方を教えてください

花岡医師: 私も妻も道外出身なので、まだまだ北海道が新鮮です。3連休があれば稚内、釧路、根室まで車で1泊2日、2泊3日の小旅行をしています。何もなければ、自宅でのんびりと映画を観ることが多いですね。
他にも、私は趣味で車の整備や改造も行います。インターネットで部品を取り寄せて取り付けたり、メンテナンスしたりしています。

趣味は車の整備。道東は「走る休日」も日常になる

── 「ネット通販で荷物が届くのが遅い」「飲食店が少ない」などの不便はありませんか

花岡医師: 北海道東部の網走といっても、ネット通販ではすぐに荷物が届くため、欲しいものはほとんど手に入ります。外食できるお店も多く、居酒屋などを含めて選択肢が豊富なので、病院の先生方とよく利用しています。
休日には、夫婦でお気に入りの回転寿司「ビッグサン」によく行きます。どのお店でも北海道ならではの海産物を堪能でき、ハッカク、クジラ、キンキなど、道外ではなかなか見かけない食材も身近です。ホタテやウニ、タラも新鮮で絶品であり、この点も網走で暮らす魅力の一つだと感じています。

学習環境──医局で集中して自宅には持ち込まない

── 勉強環境について教えてください

花岡医師: 私は自宅では集中して勉強できないタイプです。なるべく、仕事終わりに気になったことがあれば、院内のデスクで学習するように心がけています。
医局内では、コーヒーやお茶が自由に飲めるので、そこで勉強したり、院内図書館の蔵書で知識を深めたりしています。
なお、当院と自宅の間に網走市立図書館があるので、気分を変えて勉強したいときには最適です。

── 学会には参加しましたか

花岡医師: 何度か参加させていただきました。札幌の学会に参加したときは、趣味のドライブを兼ねて車で移動して、1泊しました。学会翌日は札幌を堪能できるので、メリハリがあります。

将来の展望──道内・道外含めて専門研修プログラムを広く検討中

── 初期研修後の進路を教えてください

花岡医師: 現在は道内に加え、道外の大学医局も検討中です。実際に見学を行いながら、今後に向けてじっくりと進路を決めていく予定です。
道外の病院は距離的に簡単に訪問できないため、時期を見定めて有休を取り、見学を計画しています。専門研修プログラムは、泌尿器科または消化器外科を志望しています。

── 泌尿器科または消化器外科を目指すようになったきっかけを教えてください

花岡医師: 私は難しい病態をじっくり考えるよりも、手を動かす外科的な治療のほうが性に合っています。また、今後AIが主流になる時代を見据えると、実際に手術を行える医師の価値はますます高まると感じています。きっかけは、そういった自分の適正と、将来の可能性に惹かれたところです。

医学生へのメッセージ

── 北海道での研修を考える医学生にメッセージをお願いします

花岡医師: 北海道の中でも網走市は特に涼しく、夏でも過ごしやすい気候です。暑さが苦手な方にはとても向いている環境だと思います。
当院の患者さんや先輩医師は優しく、アットホームな雰囲気で受け入れてくださいます。北海道は広く、病院間の移動に時間がかかることもありますが、その分、地域ごとに異なる魅力があります。少しでも北海道に興味がある医学生の方は、ぜひ早めに行動して、その良さを実際に体感してみてほしいと思います。

―― 花岡医師、ありがとうございました。


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