Dr.押味の医学英語カフェ

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こんにちは。「医学英語カフェ」にようこそ!

ここは「コーヒー1杯分」の時間で、医学英語にまつわる話を気軽に楽しんでいただくコーナーです。

本日のテーマは「医学生の USMLE 対策」です。

日本の医学部で学んでいる学生さんの中にも、 United States Medical Licensing Examination (USMLE) を受験しようと考えている方が数多くいらっしゃいます。ただ大学によっては「身近に受験を経験した人や予定している人がいないので、試験対策に関する具体的な情報が入ってこない」という学生さんも数多くいらっしゃいます。
そんな中、2023年12月9日に IFMSA-Japan の「医学教育に関する委員会 (SCOME)」という医学生団体が主催となって「医学生のためのUSMLE Seminar」というイベントが開催されました。このイベントの中で「日本の医学生の方が USMLE対策について知りたいと思うこと」を詳細に紹介させていただきました。

そこで今月はこのイベントの内容をまとめた「医学生のUSMLE対策」をご紹介したいと思います。

なぜ日本の医学生が USMLE を受験するの?
USMLE とはどのような試験なのかは後述しますが、そもそもなぜ日本の医学生が米国の医師国家試験を受験するのでしょうか?USMLE に限らず、試験というものはその受験理由によって下記の3つに分類されると考えられます。

 Passport としての試験
 Trophy としての試験
 Telescope としての試験

Passport としての試験」とは、その試験に合格しないと次のステップに進めないという種類の試験です。医学生が受験している大学の定期試験や CBT/OSCE、そして卒業試験や医師国家試験などは全てこの種類の試験と言えます。ですからもし皆さんが米国で臨床医として働きたいと考えているならば、USMLE もこの「Passport としての試験」というものになります。

しかし試験には「Trophy としての試験」というものもあります。これはその試験に合格しなくても次のステップに進めないわけではないが、自分の優秀さを誇示するために有効に作用するという種類の試験です。医学生にとっては TOEFL iBTやTOEIC などがこれに該当します。合格すれば良いという「Passport としての試験」とは異なり、この「Trophy としての試験」では「できるだけ難易度の高い試験で高得点を取ること」が重要となります。日本の医学生の中にもこの「Trophy としての試験」として USMLE を受験する方が多くいます。医師臨床研修マッチングにおいても「自分は USMLE Step 1 に合格しています」という経歴は、履歴書において燦然と輝く Trophy として機能するからです。

もう1つ試験には「Telescope としての試験」というものもあります。これはその試験を通して身につけたい知識や技術の概要を知ることができるという種類の試験です。心電図検定という試験は「Trophy としての試験」としても機能しますが、この検定の準備をすることを通して「実際の医療現場で心電図の読影技術がどのように使われるのか」を学ぶことが初学者にも可能となります。同じように大学の授業や臨床実習で医学英語を学ぶ機会があまりない医学生の場合、USMLE の受験を通して米国の医療現場でどのような医学知識が求められ、どのような医学英語が使われているのかを学ぶことができます。その場合の USMLE 受験はこの「Telescope としての試験」として機能しているのです。

このように試験の受験動機を分類することで「なぜ自分は USMLE を受験するのか?」を言語化することができます。もちろんそれらが重なり合う場合もありますが、USMLE 受験に興味のある方は「自分が USMLE 受験を考えているのは Passport としてなのか、Trophy としてなのか、それとも Telescope としてなのか」を考えてみると、頭が整理されるかもしれません。

USMLE ってどんな試験なの?
そもそも USMLE とはどんな試験なのでしょう?ただその試験の内容を理解するためにはまず米国の医学教育の概要を知っておく必要があります。

米国の医学部に入学するためには4年制の大学を卒業し、Medical College Admission Test (MCAT) という医学部入学のための共通試験を受験し、さらに書類選考や面接選考という激しい競争を乗り越えなければなりません。

入学後2年間は大学キャンパスで基礎医学・臨床医学を学びます。1年次は Anatomy や Physiology などの「身体の正常な機能」を、そして2年次には Pathology や各種診療科の疾患などの「身体の異常な機能」を学びます。学生全員が大学を既に卒業しているので一般教養科目などは一切なく、医療面接や身体診察技術なども1年次から徹底的に学びます。

そして基礎医学と臨床医学を一通り学んだ2年次の後半に USMLE Step 1 を受験します。これは基礎医学・臨床医学に関する試験で、下記の10項目が試験範囲となります。

 Pathology
 Physiology
 Pharmacology
 Biochemistry & Nutrition
 Microbiology
 Immunology
 Gross Anatomy & Embryology
 Histology & Cell Biology
 Behavioral Sciences
 Genetics

この USMLE Step 1は日本の CBT に相当すると考えている人が多いのですが、後述するように Step 1 で問われる内容や出題形式は日本の CBT とは異なります。また全員が同じ日に受験するというわけではなく、学生各自が試験日を設定するという点も日本の CBT とは異なります。

3年次と4年次は臨床実習です。3年次では下記の8つの診療科を core rotations として経験します。

 Internal Medicine
 Family Medicine
 General Surgery
 Psychiatry
 Neurology
 Pediatrics
 Obstetrics & Gynecology (Ob/Gyn)
 Emergency Medicine

Internal Medicine では inpatients入院患者」に対する医療を、Family Medicine では outpatients外来患者」に対する医療を学びます。また Neurology脳神経内科」が Internal Medicine とは区別されていることも特徴的です。そして Emergency Medicine では外傷などだけではなく、一般的な内科疾患も数多く経験します。

そしてこれら core rotations を経験した後に USMLE Step 2 Clinical Knowledge (CK) を受験します。日本の医師国家試験は6年次の2月に受験し、眼科や泌尿器科などの診療科に関する知識も出題されますが、USMLE Step 2 CK では下記の5つの診療科のみが試験範囲となります。

 Medicine
 Surgery
 Pediatrics
 Obstetrics & Gynecology
 Psychiatry

4年次は sub-internships という研修で、各学生が学びたい診療科での研修を自分で選んで経験します。ただしこの sub-internships は自分が卒後行きたい residency program に自分を売り込むための研修でもあるため、audition rotations とも呼ばれます。米国では日本と異なり、各診療科によって residency program の厳しい人数制限があるため、各自が希望する診療科で residency training を受けるためには熾烈な競争に勝ち残らなくてはなりません。その residency program にマッチするための audition rotations での面接が6年次の10月頃から始まり(日本と違って米国は9月から新年度が始まります)2月まで続きます。そして2月下旬に希望する residency programs を Electronic Residency Application Service (ERAS) に提出し、その結果が3月に発表されます。この発表は医学生が一堂に集まって盛大に行われ、Match Day という医学部の大きなイベントとなっています。

米国の医学生は卒業後、それぞれマッチした residency program で residency training を受けます。この residency training を受けないと各診療科での board certification専門医としての認定」を受けることができません。もし将来「米国で臨床医として永住したい」と考えているならば、希望する診療科での residency training は必須となります。

ただしこちらでも紹介されているように、 plastic surgery, otorhinolaryngology (ENT), dermatology, neurosurgery, and orthopedic surgery などの診療科は米国内でも競争が非常に激しく、foreign medical graduates (FMG)海外医学部出身の医師」がこういった診療科の residency program にマッチすることは現実的ではありません。ですからもし将来「米国臨床留学した後に日本に帰国したい」と考えているならば、米国の医師が residency program を終えた後に受ける fellowship program に応募することを検討してみましょう。

海外医学部出身の医師である FMG が米国の residency program や fellowship program を受けるためには、 Educational Committee for Foreign Medical Graduates (ECFMG) Certificate を取得しなければなりません。具体的には7年間以内に Step 1, Step 2 CK に合格し、なおかつ後述する Occupational English Test (OET) という医療英語の試験で一定の点数以上を獲得する必要があるのです。

もし将来「米国臨床留学した後に日本に帰国したい」と考えているならば、日本で初期研修・後期研修を終えてから専門医まで取得し、その後で research fellow として希望する米国の病院で研究留学をしましょう。そこで人脈を作ってから ECFMG を取得して clinical fellow として fellowship program に応募すると、競争率が高い診療科であっても FMG として臨床留学をすることが可能となります。先述した競争の激しい診療科での臨床留学を検討している人は是非こちらの選択肢を検討してみてください。

USMLE ってどこで受験していくらかかるの?
ここからは受験生の視点で USMLE を見ていきましょう。ここからの内容は、 IFMSA-Japan でのイベントでスピーカーとして登壇してくださった国際医療福祉大学医学部医学科6年生の齋藤 千颯(さいとう ちはや)さんが語ってくださったものとなります。齋藤さんは5年次の5月に Step 1を受験して合格、そして6年次5月に Step 2 CK を受験して合格されています。福島県出身の齋藤さんは入学前まで留学などの特別な英語教育は受けておらず、自称「純ジャパ」です。齋藤さんは入学時から「継続した努力」を実行できている学生さんで、成績優秀なのはもちろんのこと、人間性などあらゆる点で私が全幅の信頼を寄せている素晴らしい学生さんです。ではここからは齋藤さんがイベントで語った内容を私、押味が代筆する形で記載させていただきます。

USMLE Step 1臨床医学を背景として基礎医学の知識を問う試験です。日本の CBT と同じくコンピュータ上で受験する試験で、日本では東京のお茶の水大阪の中洲の2つが試験会場となっています。
病態生理や薬理作用などの知識に比重が高く、1時間で約40問の問題を解き、それが7ブロック用意されています。昼休みの45分間に加えて15分間の休憩がありますが、時間配分は受験生各自が自己調整できるようになっています。受験費用は2023年12月時点で $1170 となっています。

日本の CBT と比べて試験範囲が広く、「基礎医学の知識を臨床推論に応用できるか」という能力が問われている試験と言えます。日本の CBT 対策として公衆衛生学などの準備は必要ですが、「USMLE Step 1 対策をしていれば CBT は問題なく合格できる」と言えると思います。

以前は Step 1 は3桁のスコアが出る試験でしたが、今は Pass or Fail という形式に変わりました。ですから高得点を取る必要はなく、模擬試験で合格が確信できれば躊躇せずに受験すると良いと思います。

USMLE Step 2 CK は米国の医学生が core rotations で学ぶ primary care に関する臨床医学の知識を問う試験です。Step 1 と同様に東京のお茶の水と大阪の中洲の2つが試験会場となっています。
問診と身体診察から鑑別疾患を考えて具体的な治療方法を考える能力を問う問題が多く、1時間で約40問の問題を解き、それが8ブロック用意されています。Step 1 と同様に昼休みの45分間に加えて15分間の休憩があり、時間配分は自己調整できるようになっています。受験費用は 2023年12月時点で $1220 となっています。

日本の国家試験と比べて実用的な知識を問う問題が多く、「実際の臨床現場で医師として即戦力になれるか」という能力が問われている試験と言えます。日本では未承認の薬の知識も問われるなど、Step 2 CK では日米の違いに関する知識も重要となります。Step 2 CK と比較すると日本の国家試験には「暗記事項が多い」「画像読影の能力が重要」「マイナー科の知識も必須」「公衆衛生問題の対策も必要」とった特徴が挙げられますが、逆に日本の国家試験と比較すると Step 2 CK には「臨床推論の能力が重要」「精神科でも臨床推論の問題が多い」「違法ドラッグに関する知識は必須」「cystic fibrosis など日本ではあまり扱われない疾患に関する知識も必須」「行動科学に関する知識も必須」「医学論文の一部を読んで内容を確認する問題もある」などの特徴が挙げられます。

Step 1 が Pass or Fail に変更された後も Step 2 CK は以前と変わらず3桁のスコアで成績が出ます。300点満点で214点以上が合格の基準なのですが、Step 1 がスコア化されない現状では Step 2 CK の点数が重要視され、平均点も上昇傾向にあります。もし Passport として USMLE Step 2 CK を受験しようと思うなら、最低でも240点以上できれば250点以上は取っておきたいところです。

どんな教材を使えばいいの?
ではここから具体的な勉強方法をお伝えします。

Step 1 も Step 2 CK も下記の3つの教材を使って、「トライアングルを描くように勉強する」ことをお勧めします。

 UWorld
 First Aid for the USMLE Step 1 & First Aid for the USMLE Step 2 CK
 Anki

まずは question bank としての UWorld です。これは試験本番と同じフォーマットの問題集であり、これを用いた演習が合格のためには必須と言えます。
最初に First Aid ではなく UWorld から言及するのは理由があり、まずは問題演習を通して自分の足りない知識をスクリーニングすることをお勧めします。UWorld には色々な契約方式がありますが、1年契約で問題を購入することが結果的に一番経済的な方法と感じています。

次に米国では the Holy Bookバイブル」として知られる First Aid for the USMLE Step 1 があります。こちらは米国の医学生もほぼ全員が使用している review book参考書」であり、Step 1 に関する知識は全て網羅的に記載されています。UWorld の問題を解くために必要だった知識を整理するために使用しますが、大学の授業で学んだ内容なども全てここに集約しておきましょう。毎年最新版が出ますが、受験時期から逆算して購入するのではなく、自分が興味を持ったらすぐに購入することをお勧めします。(自分も入学後すぐに購入しました。)

この First Aid には Effective Learning StrategiesTop-Rated Review Resources などの項目もあり、効果的な学修方法や優れた教材なども紹介してくれていますので、その中から自分に合ったものを試してみるということもできます。

Step 1 ではこの First Aid が the Holy Book として使われていましたが、Step 2 CK ではこれに匹敵するほど重要な review book はありませんでした。自分も Master the Boards USMLE Step 2 CKStep-up to Medicine などの review books を試しましたが、あまり良い感触はありませんでした。

しかし Eleventh Edition となった First Aid for the USMLE Step 2 CK は、以前のものに加えて200ページ以上も追加され、First Aid for Step 1 との連続性を考えると非常に使い勝手の良い review book となっています。もちろんこれから新たな review book が出版される可能性はありますが、現時点ではこの First Aid が Step 2 CK でも最適な review book と言えます。

最後に紹介するのが spaced repetitions を可能にしてくれる Anki というアプリです。もちろんこれは日本語の「暗記」が語源ですが、今では世界中に広まっている学修アプリです。自分が覚えたい項目を flashcards として作成し、それを自動的に distributed practice分散学修」させてくれます。人間の忘却曲線の原理を応用し、自分が数多く間違えている項目を繰り返し出題してくれるので、効率的に暗記することができます。多くの米国医学生も試験対策として使用していますので、彼らよりも高得点が必要な FMG にも必須のツールと言えます。

この3つの教材をそれぞれ行き来する「トライアングルを描くように勉強する」ことが、USMLE Step 1 & Step 2 CK の合格には非常に効率的なものと言えます。

この他にも practice tests模擬試験」として下記のようなものが有効です。

 UWSA1/2: 1回$50。1時間40問を4ブロック。6カ月以上の UWorld 契約で2回分無料となる。
 NBME: 1回$60。1時間15分間50問を4ブロック。本番と同じ操作性が体験できる。
 Free 120: 無料。1時間40問を3ブロック。公式問題の体験版。正答の解説はない。

いつ受験するのが理想的なの?
では具体的にいつ受験するのが理想的なのでしょう?
個人的な経験を振り返り、下記の受験日程が理想的と考えます。

Step 1: CBT受験前後
Step 2 CK:
   準備期間は短くなるが初期臨床研修のマッチングにTrophyとして使いたいなら6年5月
   マッチングや卒業試験に負担にはなるが、高得点を狙いたいなら6年12月
   国家試験後の解放感を味わえないが、学修時間を長く確保したいなら国家試験直後
特に初期研修のマッチングに Trophy として間に合わせたい場合、5月までに受験しておかないと結果が間に合わない場合があります。これは毎年4-7月にプール問題の入れ替えがある影響で、6月以降の受験の場合は結果が出るのが早くても7月下旬となり、マッチングでのアピールに間に合わなくなる可能性があるからです。

USMLE Step 1 と Step 2 CK は、受験料と必要最低限の教材料だけで57万円もかかる高額な試験です。受験時期の選定にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、自分の目標・状況・価値観で最適解は変わります。これから受験される皆さんがそれぞれの目標・状況・価値観を考えて、最善の形で受験されることを願っています。(齋藤千颯

USMLE合格に必要な英語力は?
齋藤さんの解説、いかがでしたか?具体的で実際に役に立つ貴重なアドバイスだったと思います。ではここからは再び、私、押味として解説させていただきます。

齋藤さんが学生時代のうちに Step 1 と Step 2 CK の両方に合格できたのは、「努力を継続する力」があったからと言えます。よく「USMLE合格には相当の英語力(医学英語力)が必要なのではないですか?」と聞かれるのですが、どちらも基本的には読解力しか求められないので、その点では英語が苦手な方でも医学英語の読解力を高めれば十分に合格することが可能な試験と言えます。

ただ ECFMG Certificate を取得するためには、最初の試験を受験してから7年以内に下記の3つの試験全てに合格する必要があるのです。

 USMLE Step 1
 USMLE Step 2 CK
 Occupational English Test (OET)

この OET がどのような試験で、どのような対策が必要なのかはこちらに詳しくまとめてあります。ここで重要なのが ECFMG Certificate 取得には OET の Listening, Reading, Writing, and Speaking の各項目で350点以上( Writing のみ300点以上)の点数が必要となるということです。そしてこの点数を取得するには一般的な英語力として CEFR C1 レベル が必要になります。これは「上級レベル」に相当し、TOEFL iBT で95点以上、IELTS で6.5点以上のスコアに相当します。

ですから初期臨床研修のマッチングに Trophy として Step 1 と Step 2 CK を使用したいと考えている人にとってはそこまで高い英語力は必要ありませんが、ECFMG Certificate をPassport として取得したいと考えている人にとっては 、C1 レベルの英語力が必須となるということを覚えておいてください。

大学でできる USMLE 対策のサポートとは?
私が教鞭を取っている国際医療福祉大学医学部では、入学後の2年間に「医学を英語で学ぶ」という教育環境に加え、週1回の USMLE Seminar を行っています。2023年3月に1期生が卒業しましたが、2023年12月時点で USMLE Step 1 には25名、そして Step 2 Clinical Knowledge (CK) には5名の学生が合格しています。(もちろん齋藤千颯さんもその1人です。)

この数字を見て「国際医療福祉大学医学部って学生全員に USMLE 受験を奨励しているんじゃないの?だとしたらその数字は少なくない?」と感じる方もいることでしょう。

本学の医学生は卒業後、留学生を含めて全員が2年間の初期臨床研修を行います。その後には後期臨床研修も控えており、米国臨床研修に興味があってPassport としての受験を考えていても「7年間で失効してしまうので、将来が決まっていない医学部生のうちに受験するのは得策ではない」と考える学生も数多くいます。また Step 1 と Step 2 CK の両方の受験には少なくても57万円以上のお金がかかりますし、医学部の勉強と並行して受験するには齋藤さんのような「継続した努力」も必要です。ですから Trophy としても Telescope としてもハードルが高いのが現状なのです。

では USMLE 受験を考えている医学生に対して、大学側はどのようなサポートを提供することが可能なのでしょう?

もちろん大学によって提供できるサポートは異なりますが、国際医療福祉大学医学部では下記のようなサポートを提供しています。

 USMLE 及び米国医学教育に関する情報提供
 入学時からの First Aid for the USMLE Step 1 購入推進
 1・2年次の基礎医学及び臨床医学の英語での教育
 1・2年次における週1回の USMLE Seminar の実施
 各種試験問題での Clinical Vignette 導入の促進
 「英語」授業での一般英語能力の養成
 「医学英語」授業での英語圏での医療現場で使える医学英語能力の養成
 6年次に全員参加の海外臨床実習の実施
 Post-CC OSCE で「英語での医療面接」「英語での症例報告」「英語でのカルテ記載」の導入
 Step 1 及び Step 2 CK 合格者にそれぞれ5万円ずつの支援金提供

また学生さんにとっては、身近に USMLE 受験を考えていたり、経験した人がいるということも重要です。もし身近にそういう人がいないと感じている方は Team WADA などでそういう方々と繋がることをお勧めします。

さてそろそろ venti サイズ(trenta サイズ?)のコーヒーも残りわずかです。最後に齋藤千颯さんからこれから USMLE 受験を考えている医学生の方へのメッセージをまとめておきます。

 USMLE 受験の最重要な能力は「努力を継続する力」です。英語に自信がない人も諦めないでください。
 自身の目標・状況・価値観で受験時期などの最適解は変わります。自分に合った受験を考えてください。
 USMLE 受験に関する情報は常に更新されています。いつも最新の情報を得るように心がけてください。

では、またのご来店をお待ちしております。

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国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター 教授 押味 貴之

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