
2018年から導入された新専門医制度の仕組み
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新専門医制度が生まれた背景
従来の専門医制度は、“内科専門医ならば内科学会”、“外科専門医ならば外科学会”のように、各学会が『独自で運用する』認定プログラムを修了することで、専門医資格を取得することができました。
しかし、旧専門医制度に様々な課題があり、厚生労働省で検討が繰り返し行われた結果、新制度が導入されることになりました。
※新専門医制度は「医師が一定以上のスキルを磨き、国民に良質な医療を平等に提供できる」ことを目的に導入された制度です。
以下3点の問題背景があり制度が見直されました。
①各専門医の『質の担保』『平均化』の懸念

①各専門医の『質の担保』『平均化』の懸念
各学会が独自に専門医を運用してきたため、診療領域における認定基準の統一性や、専門医の質の担保に懸念がありました。
②求められる『専門医像』

②求められる『専門医像』
2002年より開業医は専門医資格を広告掲載してもよいことになり、これを契機に専門医制度の種類が増加し、専門医資格は100にも及ぶなど細分化が進んできました。 一方で、一般の方が「専門医」と広告された医療機関を「よい治療を受けることができる」と認識し誤解を招くケースもあり、”国民にとって分かりやすい仕組みになっていない”と考えられていました。
③『地域偏在・診療科偏在』の問題

③『地域偏在・診療科偏在』の問題
初期研修マッチングと同様、大きな問題点のひとつが、地域や診療科によって医師が偏在していることです。都市部では医師が過剰状態となっている医療機関もある一方、地方では深刻な医師不足が課題となっています。また、”開業しやすい””ワークライフバランスを維持しやすい”と言われている、耳鼻咽喉科や皮膚科などのマイナー診療科は若い医師がどんどん入局するものの、産婦人科や外科などの多忙で訴訟リスクの多い診療科は「割に合わない」と敬遠されがちな傾向もありました。
2018年から始まった新専門医制度では、医師の偏在にも注目し「シーリング」という診療科によって行われる専攻医の募集人数制限や、「地域枠」を設けて地域医療に貢献する医師の研修プログラムを特別に組むことにより、それまで各学会によってバラバラであった専門医資格の認定基準が、「日本専門医機構」が管轄する形で統一されることになりました。
※シーリングの詳細については「シーリングについて」をご覧ください。
後期研修医は「専攻医」へ
『専攻医』とは、初期研修を終えたあとに専門医取得を目指して、各病院の専門研修プログラムで学ぶ3年目以降の医師を指します。従来の制度では「後期研修医」と呼ばれていた医師が、この専攻医にあたります。
新専門医制度が導入される以前は、初期臨床研修を終えれば医師として自分の意思に従い、自由にその後の進路を決められました。具体的には大学医局に所属したり、医療機関で独自に募集する「後期研修医」に採用されたりと、専門医を目指しながら3~5年ほど経験を積んでいくというものです。
しかし今後は、ほとんどの研修医が専門医を目指して、3~5年間の専門医研修プログラムによる研修を行うことが想定されています。
※2020年度医師国家試験合格者9341名のうち、2021年度日本専門医機構へ登録・採用者の人数が1次募集で8658名、2次募集・最終募集も含めると9448名が採用となり2020年度国試合格者以上の「専攻医」が誕生することとなりました。
[下記参照]
■厚生労働省「第114回医師国家試験の合格発表について」
■日本専門医機構「2022年度採用状況(一次募集)」
■日本専門医機構「2022年度採用状況」
■日本専門医機構「2023年度採用状況」
専門医が取得できる「専門研修プログラム」を実施している病院は、日本専門医機構が指定しています。
そして「専門研修プログラム」の実施指定を受けるためには医師数、手術件数、地域医療に配慮したプログラム(基幹病院と地域の協力病院で病院群を構成し必要に応じて各都道府県に設置)など厳しい規定があります。
そのため、大学病院などの限られた規模の病院のみが対象となっています。
プログラム制について
年次ごと(3~5年)に定められたプログラムに則して研修を行い、専門医を養成するものです。
一つの基幹施設のみで完結型の研修ではなく、一つ以上の連携施設と研修施設群を作り、循環型の研修を行い、定められた目標を達成するものとされています。
一つの病院だけで研修を行うと、その病院の性質(地域性や医師の専門など)により研修に偏りが出る可能性があるので、他の連携病院を必ず作り、循環型(ローテーション型)の研修を行うものとしています。
基本領域とサブスペシャルティ領域とは
新専門医制度は、19の基本領域で構成される「基本領域専門医」と、基本領域専門医の取得後に選択できる「サブスペシャルティ領域専門医」の二段階制となり、「専攻医」はまず19の基本領域から専門医資格の取得を目指すことになります。
専門医取得までの流れ
\ 初期研修医~専門医を取得するまでの流れを
\ イメージしてみましょう! /

1.「専攻医」情報の収集・事前準備
専攻医になるための病院見学は、初期研修1年目の冬頃(1~3月)から検討を始めておくと、焦らずに見学が可能となるためお勧めです。病院見学は平日しか受け付けていないことが多いので、有給休暇などを利用する計画を早めに立てることが重要になります。
※初期研修医1年目の1~3月頃や、2年目の春頃に有給休暇がなかなか利用できないと見学に行きそびれてしまうケースがあり、前もって確認が必要。
特に、希望診療科・希望エリアがシーリング対象の場合は早めの時期に見学へ行くことをお勧めします。

2.「専攻医」になるために登録・応募をします
日本専門医機構や領域学会のHPから、希望する病院の研修プログラムへ登録をします。(例年11月初旬)専攻医登録はマッチングとは異なり、1つのプログラムにしか登録ができないため、登録時期までに1つの病院に意思決定をしておく必要があります。

3.「病院・プログラム」ごとに採用試験・面接が行われます
病院へ試験・面接の申し込みを行い、病院の指示に従い試験や面接を受けます。

4. 採否の通知が来ます
登録をした専門医機構、学会から採否の通知が来ます。
残念ながら一次登録で希望する研修先が決まらなかった場合は、二次登録、最終登録を行うことになります。

5. 研修プログラムに沿って3年以上の専門研修を受けます
専門研修開始は一律で翌年4月からとなり、3年以上の専門研修を受けます。
<新専門医制度における基本領域別(最短)研修期間>
■3年間:内科、外科、産婦人科、小児科、精神科、放射線科、病理科、臨床検査科、救急科、リハビリテーション科、総合診療医
■4年間:脳神経外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、眼科、麻酔科、形成外科、整形外科■5年間:皮膚科

6. 基本領域の専門医認定を取得することができます
基幹病院や連携病院で定められた期間の経験を積み、症例数や論文などの条件を満たし、筆記試験などをクリアして基本領域の専門医認定を受けることができます。

7. サブスペシャルティ領域の専門医を取得することができます
基本領域の専門医を取得した後、さらに専門性に特化したサブスペシャルティ領域の専門医を取得することができます。登録するプログラムにもよりますが、基本領域プログラムの研修後に最短1~2年でサブスペシャルティ領域の専門医試験を受けることができます。
マッチングと新専門医制度の関係
実は、2018年から始まった新専門医制度はマッチングにも関係があります!医学生の方も是非チェック✔してください。
振り返りになりますが、新専門医制度が導入される以前は、初期臨床研修修了後に大学医局に所属したり、医療機関で独自に募集する「後期研修医」に採用されたりと、専門医取得のために3~5年ほど経験を積んでいくことになっていました。
つまり、初期臨床研修を終えれば、医師として自由にその後の進路を決められることになります。
しかし、新専門医制度では、初期臨床研修を終えた医師は「専攻医」になるために、日本専門医機構が定める所定の医療機関で、3年以上の研修を受ける必要があります。 専門医機構が定める医療機関は、「専門医」取得のために厳しい審査を通過した大学病院・教育体制のある規模の市中病院に限られています。
なお、募集人数の少ないプログラムについては、院内に所属している初期研修医がいち早く応募情報を得られたり、プログラム責任者との面談がしやすいことから選考が有利に働くことがあります。
また、新専門医制度は診療科×都道府県によって『シーリング』の対象となることや、専門医機構へのプログラム登録は1つに絞らないといけないことなど研修医にとって厳しい条件になっているとの意見が上がっている現状です。
特に人気の診療科(プログラム)については応募希望者が多いことから早めの病院見学などアピールが必要となってきます。候補病院が決まっている場合は早めに病院見学に行き、プログラム責任者などと面談をし意向をお伝えすることをお勧めします。
シーリングについて

シーリング制度とは、すでに必要な医師数を確保できている都道府県や診療科に採用数の上限(シーリング)を設ける制度で、2020年度から実施されています。
また、採用数の一部を「連携プログラム」枠として、研修プログラムの50%以上をシーリングのない都道府県で行い、医師偏在の助長を防ぐ狙いがあります。
※診療科以外の区分では、自治医大卒の医師や医学部の地域枠で合格した医師が、シーリングの対象外となっています。
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サブスペシャリティを消化器内科で考えていたので、消化器の指導医が多く、内視鏡の件数が多く、自分も腕を磨ける病院で研修がしたくて相談しました。希望通りの条件に加え、土地勘のなかった東京でも交通の便や治安もよい街だったのでストレスなく研修できています。

専門研修先を選ぶポイントは、「4年間で実力がつくかどうか」ということでした。「外傷症例が多く、手術経験が積める」「マイクロサージャリーを応用した再建手術経験をもつ医師が在籍している」という条件をメックに伝えたところ、3年目からしっかり経験が積める、条件に合った東海エリアの市中病院を紹介してもらいました。同じ目標をもった同期と切磋琢磨できる環境のなか、想像以上に早く実力をつけられそうで、大変満足しています。
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