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クリニックの承継開業で失敗しないために押さえておきたいこと|税理士法人 和

プロフィール

税理士法人 和

税理士法人 和(なごみ)は、平成4年創業、本社は大阪市中央区。東京都千代田区に支社。クライアント数、約1,000件。医業経営コンサルタント協会会員、TKC全国会医業・会計システム研究会会員、TKC全国会資産対策研究会会員、日本M&Aセンター理事会員、JPBM医業経営部会会員、一般社団法人メディカルスタディ協会監事。

地区医師会の顧問や医療機関へのアドバイス等の医業経営コンサルティングと、出資持分のない医療法人への移行などの事業・財産承継を中心とした資産税コンサルティングに強みを持ったサービスを提供している。厚生労働省委託事業や金融機関等でのセミナー講演は年間40回以上にのぼる。主な著書に『ドクターのための医院の財産承継&相続パーフェクト・マニュアル』(すばる舎)ほか多数。
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承継開業のポイント

クリニックの新規開業は土地や建物、内装、医療機器にかかる高額な費用はもちろん、スタッフの採用などにかかる費用も軽視できません。開業当初はある程度余裕を持った運転資金も確保しておきたいところで、新規開業にはコストの問題に悩まされる場面が多くあります。

近年はコロナ禍やオンライン資格確認の義務化などのIT化による環境の変化により閉院等を検討する医療機関も多く、医療業界でも承継開業を選択する先生が増えています。承継開業のメリットはコスト面だけでなく様々ですが、承継後の経営に支障がでないよう事前に確認しておくべきポイントもあります。

また、承継開業は一般的な新規開業と違い事業を承継するためのスケジュールが必要となります。承継元が見つかるまでの期間にもよりますが、承継開業をサポートする業者への登録から、承継元の選定・マッチング、条件のすり合わせ、契約合意にいたるまで半年~約1年の期間を要します。

承継開業のメリット

  • 患者基盤があるので、医業経営が早く軌道に乗りやすい
  • 新規開業に比べて医療機器や内装工事のコストが抑えられる
  • すでに地域に周知されている場合が多いので、広告宣伝費が比較的安く抑えられる
  • 承継するクリニック自体や、引き継ぐ患者、周辺地域に詳しいスタッフを引き継げる

承継開業のデメリット

  • 希望の条件を満たす売り手を見つけるのが困難
  • 商談中大変なストレスにさらされる
  • 売り手が見つかるまで長い時間がかかる
  • 承継する医院の経営理念や診断方針を変えることが困難
  • 医療スタッフの入れ替えが容易ではなく、人間関係に軋轢が生じることもある
  • 前院長が経営や診療行為に口を出すこともある

承継開業で失敗しないためには、承継元の医療機関を入念に調べることが重要です。立地や経営状態などだけでなく、スタッフの雇用や支払いなどリスクとなることはあらかじめ確認しておきましょう。

また、患者さんをそのまま引き継げるのかの確認も重要です。特にカルテの引継ぎには注意が必要です。事業承継した場合には自動的にカルテも引き継がれ、その管理責任も移行する形になりますが、個人情報には変わりありませんので、実務的には事業承継の案内とともにカルテの引継ぎも行う旨を患者さんに伝えておくとスムーズな承継を行うことができます。

承継開業は承継条件をいかに引き継ぐ側の意向に沿った内容にするかが重要になります。承継元の調査は非常に大切ですが先生自らが調査を行うのは難しいと思いますので、ぜひ信頼できる専門家をご活用ください。