
皮膚科専門医は、皮膚、毛髪、爪に関するさまざまな疾患や異常の診断・治療を専門とする医師です。湿疹やアトピー性皮膚炎、ニキビ、脱毛症、爪の異常など、幅広い皮膚トラブルに対応し、患者の皮膚の健康を維持・改善するための治療を行います。また、皮膚がんの早期発見や予防指導も行い、美容皮膚科の知識も活かしながら、患者の生活の質向上を目指しています。
日本皮膚科学会と皮膚科専門医
日本皮膚科学会の会員数は約1.3万人に上り、国内の皮膚科医療の発展と知識の普及に重要な役割を果たしています。皮膚科専門医は、皮膚、毛髪、爪に関する疾患や異常の診断・治療を専門的に行い、皮膚の健康維持と治療に貢献している医師になります。
専攻医として、最低5年の専門医研修を受け、日本皮膚科学会が年1回実施する試験に合格した医師に与えられます。
都道府県別の専攻医プログラム採用人数(2024年度)
2024年度の皮膚科専攻医プログラムの採用人数は、全国合計で297人となっています。このうち、医師の地域偏在を防ぐために、シーリング制度が適用されたエリアは5都道府県でした。
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
北海道 | 14 | |
青森県 | 4 | |
岩手県 | 2 | |
宮城県 | 4 | |
秋田県 | 1 | |
山形県 | 0 | |
福島県 | 1 | |
茨城県 | 4 | |
栃木県 | 3 | |
群馬県 | 2 | |
埼玉県 | 7 | |
千葉県 | 9 |
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
東京都 | 73 | 〇 |
神奈川県 | 13 | 〇 |
新潟県 | 1 | |
富山県 | 2 | |
石川県 | 6 | |
福井県 | 2 | |
山梨県 | 1 | |
長野県 | 4 | |
岐阜県 | 3 | |
静岡県 | 5 | |
愛知県 | 16 | |
三重県 | 1 |
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
滋賀県 | 4 | |
京都府 | 10 | 〇 |
大阪府 | 34 | |
兵庫県 | 13 | 〇 |
奈良県 | 3 | |
和歌山県 | 4 | |
鳥取県 | 2 | |
島根県 | 3 | |
岡山県 | 0 | |
広島県 | 6 | |
山口県 | 0 | |
徳島県 | 1 |
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
香川県 | 2 | |
愛媛県 | 6 | |
高知県 | 4 | |
福岡県 | 14 | 〇 |
佐賀県 | 1 | |
長崎県 | 2 | |
熊本県 | 2 | |
大分県 | 5 | |
宮崎県 | 1 | |
鹿児島県 | 2 | |
沖縄県 | 0 | |
合計 | 297 | 5 |
プログラム基幹型の病院数
- 専門研修プログラム数(皮膚科領域)107件(2024年11月現在)
- カリキュラム制対応基幹施設 107件(2024年11月現在)
皮膚科専門医|試験情報
皮膚科専門医 | 皮膚科専門医は、皮膚、毛髪、爪に関する疾患や異常の診断・治療を専門とし、皮膚の健康を維持するための治療を提供する医師です。 |
試験日程/試験会場/出願期間 |
最新情報は学会ホームページをご確認ください。
【2024年試験情報】 試験日程:2024年12月15日(日)8時ごろから12時ごろ 試験会場:東京国際フォーラム 出願期間:2024年7月1日(月)出願開始 2024年7月31日(水)必着 |
受験料 | 書類審査料:22,000円 受験料:33,000円(受験資格通知書に記載された期日までに納付) |
合否発表 | 学会ホームページをご確認ください。 |
合格率 | 81.4% |
直近の合格率 | 2022年:80.9% 2021年:82.7% 2020年:80.5% |
受験者数 | 2022年:330人 2021年:300人 2020年:220人 |
合格者数 | 2022年:267人 2021年:248人 2020年:177人 |
学会名 | 日本皮膚科学会 |
学会URL | https://www.dermatol.or.jp/ |
学会員数 | 12,933人 |
学会認定専門医数 | 6,530人 |
機構認定専門医数 | 86人 |
更新制度 | ※詳しくは学会ホームページをご確認ください。 |
専門研修FAQ|皮膚科専門医に聞きました
2023年度皮膚科専門医取得 女性医師からのメッセージ
診療科に向いている人はどんな人だと思いますか?
皮膚科は外科などと比べると単独診療も可能な科であり、自分のペースで診療を進めていきたい方にも向いていると思います。 ただし、他科と比較すると外来患者数が多い傾向にあり、混み合うことが多いため、テキパキと診療や処置を進めていく必要があります。皮膚腫瘍などの細かい手術が多いため、手先の器用な方にもおすすめです。
診療科の働きやすさについて
現在は大学病院に勤務しておりますが、それでも緊急オペや夜間オンコール呼び出しなどは他科に比べるとかなり少ないです。 また、多くの市中病院やクリニックは外来メインのため、日中の診療時間内で勤務が終了し、定時に帰宅できることが多いです。
重要視される知識やスキルを教えてください
皮膚科は皮膚をパッと見て、適切な鑑別疾患を挙げられるかが重要であると考えます。皮膚生検などの追加検査を要するものなのかどうか、その場で判断する必要があるため、snap diagnosisの能力が重要です。 また、細かい手術が多いため、ある程度の手先の器用さやトレーニングを重ねる忍耐力は大切であると考えます。
専門医取得のための勉強方法・対策
使用した教材は?
専門医試験勉強で使用した教材は、中山書店 あたらしい皮膚科学第3版、南江堂 皮膚病理組織診断学入門第3版、秀潤社 ダーモスコピー超簡単ガイド改訂第2版、金芳堂 皮膚科学第11版です。全て書籍です。
あたらしい皮膚科学第3版、皮膚科学第11版の使い分けについてですが、メインの教科書はあたらしい皮膚科学第3版として、そこに書かれていない内容を皮膚科学第11版で調べるという感じで勉強しました。学生時代から愛読しているあたらしい皮膚科学ですが、専門医試験で改めて熟読すると、本当によくまとまっている良い教科書だと思いました。
ダーモスコピー超簡単ガイド改訂第2版は、著者の田中先生が専門医試験の委員長を務められていたこともあり、過去問で書籍と同じ写真が使用されていた年もありました。写真や解説がわかりやすく、おすすめの1冊です。皮膚病理組織診断学入門第3版は、少し難しく感じるかもしれませんが、専門医試験の範囲はしっかりカバーできるので安心です。なお、入局1年目の頃は、みき先生の皮膚病理診断ABCを愛読しておりました。初学者向けで分かりやすいのが特徴です。
※専門医試験に向けて追加購入したのは、皮膚科学第11版のみです。それ以外はもともと日常診療で使っていた教材です。
実際の症例登録やレポートの対策で工夫したことは?
皮膚科は専門医試験受験のためのハードルが他科よりも高いと言われています。5年以上の研修期間、First authorの論文が少なくとも3本以上、学会発表8回(※執筆した論文の数が1本増える毎に、必要な発表数は2回分少なく済みます)、有料の講習会受講単位が約10回分必要です。これらを満たした上で、受験申し込み書類として症例レポート15症例以上、手術レポート10例を提出します。私はストレートでの合格を目指していたため、1年目の頃から指導医の陪席に積極的に付いたり、外来日には予約外初診の患者さんをなるべく多く診たりと、症例を集められるよう努めていました。日常診療と並行して論文執筆や学会発表の準備を進めていくのはとても大変でした。
専門医試験に向け、後進の医師へアドバイス
上述の通り、皮膚科専門医試験の過去問の解答解説や、試験対策テキストなどは販売されていないため、過去問を自分で解いて、教科書などで解答を確認する作業が必要になります。過去問題は最低5年分、できれば10年分解いて、教科書や参考書で周辺知識をまとめることをおすすめします。私自身は、最終的に13年分の過去問を解いたのですが、医学の進歩に伴い、少しずつ出題内容や傾向が変わるため10年分で十分だと感じました。最近は、個人ブログに自作の解答解説を載せてくれている先生がいるため、参考にするのもおすすめです。
専門医取得サポートと取得後の転職・キャリア相談
専門医資格取得後のキャリア選択:専門医資格を取得すると、キャリアの選択肢が大きく広がります。臨床の第一線で専門医として活躍するだけでなく、研究や教育の分野での活動、病院経営への参画も可能です。どの道を選ぶにせよ、自分の目標やライフステージに合ったキャリアプランを立てることが重要です。
専門医としての経験やスキルを最大限に活かすために転職を検討する医師も少なくありません。専門的な転職サポートやキャリア相談の利用が効果的です。
専門医資格を活かしたキャリアのご相談はシーメックへ
転職相談サービスでは、専門医資格を持つ医師に特化したサポートを提供いたします。一般的な転職サービスとは異なり、医療業界のトレンドや病院のニーズ、さらには特定の専門領域に強い求人情報を提供するなど、医師のキャリアに深く根ざした支援を行います。
専門医資格取得後の転職やキャリアチェンジは、個人だけで進めるよりも専門的なサポートを活用することで自分の市場価値を把握しやすくなり、スムーズなキャリア移行が可能です。
主なサポート内容
- 求人情報の提供:専門医として活躍できる病院やクリニックの求人情報を提供。自分の専門分野に合ったポジションを見つけやすくなります。
- コンサルタントによる個別相談:希望やライフステージに合わせたアドバイスを行います。病院の選び方、職場環境の確認、勤務条件の交渉方法などもサポートします。
- 面接対策や履歴書の添削:転職活動に欠かせない履歴書や職務経歴書の作成を手伝い、面接の練習や対策も必要に応じて実施。自分の強みを効果的にアピールできるようサポートします。
- ライフイベントに対応した柔軟なキャリアプラン:出産や育児、介護といったライフイベントに柔軟に対応できるキャリアパスや勤務形態の提案も行います。
専門医取得サポート教材
動画学習サイト「ドクターズスタディ(ドクスタ)」では、専門医取得を目指す医師に最適なコンテンツを取り揃えています。効果的な教材で知識を深め、専門医試験合格を目指しましょう。あなたの学習をサポートするために、ぜひご利用ください。