
総合診療専門医は、年齢や病気の種類を問わず、患者の全身に関わる健康問題に対応する専門医で、初期診断や幅広い健康管理を行います。患者一人ひとりの総合的な診療を提供し、必要に応じて他の専門科と連携して治療を進めることで、患者の健康を全体的に支援する役割を担っています。
日本専門医機構と総合診療科
総合診療は、19番目に承認された新規専門領域です。地域医療から高度医療まで幅広い診療の質向上に貢献する重要な役割を果たしています。総合診療専門医は、年齢や疾患に関わらず幅広い健康問題に対応し、患者中心の包括的医療を提供できるよう研鑽を積んでいる医師になります。
専攻医として、最低3年の専門医研修を受け日本専門医機構が年1回実施する試験に合格した医師に与えられます。
都道府県別の専攻医プログラム採用人数(2024年度)
2024年度の総合診療専攻医プログラムの採用人数は、全国合計で290人となっています。シーリング対象外の診療科です。
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
北海道 | 20 | シーリング対象外 |
青森県 | 7 | |
岩手県 | 2 | |
宮城県 | 6 | |
秋田県 | 1 | |
山形県 | 3 | |
福島県 | 5 | |
茨城県 | 8 | |
栃木県 | 5 | |
群馬県 | 3 | |
埼玉県 | 9 | |
千葉県 | 17 |
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
東京都 | 39 | シーリング対象外 |
神奈川県 | 14 | |
新潟県 | 4 | |
富山県 | 0 | |
石川県 | 1 | |
福井県 | 3 | |
山梨県 | 3 | |
長野県 | 7 | |
岐阜県 | 4 | |
静岡県 | 6 | |
愛知県 | 24 | |
三重県 | 3 |
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
滋賀県 | 4 | シーリング対象外 |
京都府 | 7 | |
大阪府 | 12 | |
兵庫県 | 8 | |
奈良県 | 7 | |
和歌山県 | 2 | |
鳥取県 | 0 | |
島根県 | 9 | |
岡山県 | 5 | |
広島県 | 6 | |
山口県 | 3 | |
徳島県 | 0 |
地域 | 採用数 | シーリング対象 |
---|---|---|
香川県 | 0 | シーリング対象外 |
愛媛県 | 1 | |
高知県 | 1 | |
福岡県 | 14 | |
佐賀県 | 1 | |
長崎県 | 3 | |
熊本県 | 1 | |
大分県 | 1 | |
宮崎県 | 1 | |
鹿児島県 | 0 | |
沖縄県 | 10 | |
合計 | 290 | 0 |
プログラム基幹型の病院数
- 426件(令和5年)
総合診療|試験情報
総合診療専門医 | 総合診療専門医は、年齢や疾患の種類全般、全身のあらゆる健康問題に対応する科で、患者の総合的な診療や初期診断を行い、必要に応じて専門科との連携を調整する医師です。 |
試験日程/試験会場/出願期間 | 最新情報は日本専門医機構ホームページをご確認ください。
【2024年試験情報】 試験日程:CBT試験:2024年9月29日(日) 面接試験:2024年10月6日または10月13日 試験会場:全国複数の試験会場から選択 出願期間:2024年4月15日から2024年5月13日 |
受験料 | 55,000円(税込) ※入金後のキャンセルおよび返金は不可 合格後、別途22,000円(税込)が必要 |
合否発表 | (2024年試験)2025年1月下旬頃 |
合格率 | 89.0% |
直近の合格率 | 2022年:88.8% 2021年:89.2% |
受験者数 | 2022年:267人 2021年:83人 |
合格者数 | 2022年:237人 2021年:78人 |
学会名 | 日本専門医機構 |
学会URL | https://jbgm.org/ |
学会員数 | – |
学会認定専門医数 | 311人 |
機関認定専門医数 | 311人 |
更新制度 | 5年ごとに更新が必要 ※詳しくは日本専門医機構ホームページをご確認ください。 |
専門研修FAQ|総合診療専門医に聞きました
2024年度総合診療専門医取得 男性医師からのメッセージ
診療科に向いている人はどんな人だと思いますか?
総合診療科は、内科や外科、小児科、精神科など多様な領域の知識を身につけ、複雑な症状や背景を総合的に評価しながら患者の全体像をとらえる診療分野です。特定の分野を深く追究するよりも、未知の状況に柔軟にアプローチし続けたい好奇心と探究心を持ち、学び続ける姿勢を保てる人が向いています。さらに、患者や家族の話を傾聴し、生活環境や社会的背景を考慮して支援するため、相手を尊重し理解しようとするコミュニケーション能力が大切です。また、多職種チームと連携しながら最善の治療計画を立案するため、協調性や協働意識を持ち、人と協力し合って課題を解決する過程に喜びを見いだせる性格が生かされます。さらに、身体面だけでなく精神面や社会的課題にも目を配り、必要に応じて適切なサポートを繋げる総合力が求められ、常に新たな知識を吸収しながら柔軟に対応する姿勢が不可欠です。こうした資質を持つ人にとって、総合診療科はやりがいを感じられるでしょう。
診療科の働きやすさについて
総合診療科が他科と比べて働きやすいと感じる理由としては、まず幅広い疾患や多様な患者背景に向き合うことで包括的な視点が身につき、急性期から在宅まで幅広い場面で柔軟に対応できることが挙げられます。さらに地域病院や外来でのローテーションを通して、他職種や様々な専門領域の医師との連携が進むだけでなく、コミュニケーション能力や調整力も自然と鍛えられます。こうした学びの機会の豊富さと連携のしやすさが魅力であり、経験を積むほどにスキルアップを実感できる点も大きなメリットです。また多彩な症例に当たる分、日々新しい発見がありマンネリを感じにくい環境であることも重要です。加えて、急性期治療にとどまらず予防医学や在宅ケアなど多岐にわたる専門性を磨くチャンスが広がるため、将来のキャリアプランにも柔軟に対応できるのは大きな強みと言えます。総合診療科はこうした柔軟性や協調性を必要とする分、周囲との連帯感が強まって働きやすさが高まるため、私は5点満点のうち4点の評価を付けました。今後さらに働き方改革が進むことで、総合診療科は幅広い領域をカバーしつつも柔軟な勤務形態を選択しやすくなる可能性が高く、チーム医療の中心的存在としてますます期待されると思います。
重要視される知識やスキルを教えてください
総合診療科では、患者の多様な症状や幅広い健康問題を一括して捉える視点が求められる。そのためには、内科・外科をはじめとした各専門領域の基礎知識をバランスよく備えながら、循環器や呼吸器など複数臓器の機能評価を瞬時に行える包括的な診療技術が欠かせない。また、病歴聴取や身体診察を通じた迅速かつ的確な問題抽出能力が必要であり、その上で仮説を立てて鑑別診断を広く考える思考力も重要となる。さらに、年齢層やバックグラウンドの異なる患者一人ひとりに寄り添うコミュニケーション力が問われるほか、専門科への適切なタイミングでの紹介やチーム医療における調整役となるリーダーシップも欠かせない。特に、心理社会的な側面に目を配り、生活習慣や家庭環境の影響を総合的に考慮するアプローチも求められる。最後に、目まぐるしく変化する医学知識をアップデートし続ける学習姿勢と、エビデンスに基づいた判断を下せる批判的思考力が備わってはじめて、総合診療医として患者に最適なケアを提供できる。
専門医取得のための勉強方法・対策
使用した教材は?
THE内科専門医問題集、総合診療専門研修公式テキストブック。
私が試験対策として使用した教材は、基本的な事項を網羅しつつ、最新エビデンスにもしっかり対応していたため、日々の診療の復習はもちろん、知識のアップデートにもつながった点が特に高く評価できます。実際の診療場面で「こういう症状があれば、こう対応する」といった具体的なイメージをもって学習できたのは大きなメリットでした。また、アプリや動画の教材は空き時間を効率的に活用できるため、勤務の合間や通勤時でも手軽に繰り返し確認することができ、負担が少なかったことも満足度が高い理由の一つです。試験勉強としてだけではなく、日常臨床に直結する知識と実践力を強化できた点で非常に重宝しました。
実際の症例登録やレポートの対策で工夫したことは?
私は最初、退院時に詳細な要約をまとめる手間を惜しんでしまい、後からレポート登録を行う際に過去のカルテを一から洗い直す羽目になり、時間も労力も大きく浪費しました。こまめに症例を振り返って、病歴や検査結果、治療経過だけでなく、文献的な裏付けも含めた考察を退院時要約に盛り込んでおくと、いざレポートを仕上げるときにスムーズです。また、症例登録そのものも量が多いので、忙しいからと後回しにせず、日々の業務の合間に少しずつ進めることが最終的には効率的だと痛感しました。特に指導医のアドバイスを受けたり、文献検索を行ったりする時間も計算に入れて余裕をもったスケジュールを組むことが重要だと思います。
専門医試験に向け、後進の医師へアドバイス
専門医試験はこれまでの臨床経験や知識を的確に活用する場である一方、自分がまだ理解を深め切れていない分野を洗い出すきっかけにもなります。まずは試験範囲を体系的に俯瞰し、自分が苦手と感じるテーマや分野を明確にすることが大切です。過去問などで頻出テーマの傾向をつかみ、自身の弱点に重点を置いた学習を早めに始めましょう。また、臨床現場で得られる実践的な知識と教科書的な基礎知識を結びつけることが、理解を深める近道です。症例検討や学会発表などの機会を積極的に利用して自分の考えをアウトプットし、人からのフィードバックを受け取りながら知識の整理と応用力を養いましょう。さらに、試験直前になって焦りが生じるのは当然ですが、短期決戦の一発勝負よりも、計画的に学習を継続することで自信と実力をつけることが肝心です。自分の体調管理やメンタルケアにも配慮しながら、日々の診療で得た経験を知識と結びつけ、“試験のための勉強”ではなく“臨床のための勉強”と捉えて取り組むことが、合格への大きな一歩となるでしょう。
専門医取得サポートと取得後の転職・キャリア相談
専門医資格取得後のキャリア選択:専門医資格を取得すると、キャリアの選択肢が大きく広がります。臨床の第一線で専門医として活躍するだけでなく、研究や教育の分野での活動、病院経営への参画も可能です。どの道を選ぶにせよ、自分の目標やライフステージに合ったキャリアプランを立てることが重要です。
専門医としての経験やスキルを最大限に活かすために転職を検討する医師も少なくありません。専門的な転職サポートやキャリア相談の利用が効果的です。
専門医資格を活かしたキャリアのご相談はシーメックへ
転職相談サービスでは、専門医資格を持つ医師に特化したサポートを提供いたします。一般的な転職サービスとは異なり、医療業界のトレンドや病院のニーズ、さらには特定の専門領域に強い求人情報を提供するなど、医師のキャリアに深く根ざした支援を行います。
専門医資格取得後の転職やキャリアチェンジは、個人だけで進めるよりも専門的なサポートを活用することで自分の市場価値を把握しやすくなり、スムーズなキャリア移行が可能です。
主なサポート内容
- 求人情報の提供:専門医として活躍できる病院やクリニックの求人情報を提供。自分の専門分野に合ったポジションを見つけやすくなります。
- コンサルタントによる個別相談:希望やライフステージに合わせたアドバイスを行います。病院の選び方、職場環境の確認、勤務条件の交渉方法などもサポートします。
- 面接対策や履歴書の添削:転職活動に欠かせない履歴書や職務経歴書の作成を手伝い、面接の練習や対策も必要に応じて実施。自分の強みを効果的にアピールできるようサポートします。
- ライフイベントに対応した柔軟なキャリアプラン:出産や育児、介護といったライフイベントに柔軟に対応できるキャリアパスや勤務形態の提案も行います。
専門医取得サポート教材
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