レポーター:くまなか
医学生のマッチング相談・キャリアサポーター・研修病院の広報活動のサポートをしています。
趣味はランニングとお酒。つい飲みすぎて翌朝反省するところまでがセットです。
文系学部出身で、入社するまで医療の知識はほとんどゼロでしたが、日々勉強しながら医療の世界を追いかけています。
今回、学会初参加!!
学術大会のイメージが変わった日
「学術大会」と聞くと、医学生のうちは縁がないと思っていませんか?
そのイメージを確かめたくて、11/27~29に国際フォーラムで行われた【日本放射線腫瘍学会】に参加してきました。
参加してみると、進路に迷う医学生の悩みに直結する話ばかりで、「おお!」の連続でした。
特に印象的だったのが、「何科になりたいか」ではなく「何をしたいか」で診療科を決めてほしい、というメッセージです。
放射線科でいうと、「手術に興味はあるけれど低侵襲がいいのか」「全身のがんを専門医とディスカッションしながら診たいのか」といった軸で考えるイメージです。
実際に放射線治療科に進んだ先生の中には、学生時代のセミナー参加が決定打になった方もいました。
まずは体験したり、現場の声を聞くところからすべてが始まると実感しました。
受付エントランスの様子
AIがもたらす革命!5日間がまさかの5秒に
学会で最も衝撃的だったのは、治療技術の進化のスピードです。30年前は治療計画を2次元で手書きし、完成までに5日かかることもあったそうです。
その後コンピューターで高精度になりましたが、複雑なケースでは今でも時間と労力が必要とのことでした。
しかしAI時代では、状況が大きく変わります。AIを使えば、この複雑な治療計画が数秒で終わる未来が見えてきているそうです。
会場で出たのは、「では、残った時間で何をするんですか?」という問い。この余った時間こそが重要だと強調されていました。
キャンサーボードで他科(内科、外科、病理など)の専門医とより深くディスカッションし、患者さんを多面的に診る時間に変えていく。
AIは仕事を奪うのではなく、医師の役割を広げ、人間らしい仕事に集中させてくれる存在なのだと感じました。
全身をコントロール!これが「五刀流」の正体
放射線治療医の守備範囲の広さにも驚かされました。
脳腫瘍、乳がん、肺がん、前立腺がん…まさに頭のてっぺんから足先までのがんを、毎週専門医たちとディスカッションしながら診ています。
さらにAIの進化で、放射線治療医が関わる領域は今後もっと広がる可能性があるといいます。画像診断、病理、薬物治療、外科的な低侵襲治療など、隣接分野とのつながりが自然と強くなり、「全身を見ながら最適な治療をデザインする医師」としての役割が大きくなっていくそうです。
そしてこの仕事の大きな魅力は、患者さんの変化が目で見えること。
脊椎転移で車椅子だった方が照射後10日ほどで歩けるようになったり、メスを使わずに子宮頸がんが治ったケースなど、現場では多くのドラマが起きています。こうした瞬間に立ち会えるのは、きっと大きなやりがいになります。
世界のパンダより少ない!?いますぐ体験すべき理由
日本の放射線治療医は約1,440人。これはなんと世界のパンダ(約2,600頭)より少ない人数です。
2050年には「放射線治療医の需要」が1.4倍に増えるとされており、若手の力が本気で必要とされています。
そしてこの分野は、すでに低侵襲・高精度な治療が確立されつつあり、そこに今後さらに技術が進化し、AIなど新しい医療技術も次々と入ってくる世界です。全身のがんを幅広く診たい人、最新技術に興味がある人には、相性抜群だと感じました。
働き方の魅力も大きく、「当直や急な呼び出しが少ないため、生活リズムが整えやすい」「子育てしながら続けられる」「休みが取りやすい」という声も実際に挙がっていました。
先生たちが口をそろえていたのは、「まずは短期実習でもいいから体験してみてほしい」ということ。
ACT特別企画小牧先生のご講演
ACT特別企画 懇談会の様子
さいごに
この記事を読んで少しでも面白そうだと思ったなら、次は軽い気持ちで実習やセミナーを覗いてみてください。
医学生は基本的に無料で参加できるので、キャリアパス情報や診療科情報、ネットワークを広げるという意味では、「学術大会」の参加は非常におススメかと思います。
知識ゼロで学会に来た私でも楽しめたので、きっとあなたならもっと多くのものを得られるはずです。