

【答えてくれる先生】
北城 雅照先生/医療法人社団円徳 理事長・総帥
(医療法人社団円徳 公式HP:https://adachikeiyu.com/)
<経歴>
2009年 北里大学医学部卒業 /
2011年 慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局 /
2018年 医療法人社団円徳(旧:新潮会)理事長就任 /
2019年 足立慶友整形外科院長就任/
2024年 足立慶友整形外科総帥就任
<認定資格・所属学会>
◎日本整形外科学会認定整形外科専門医 ◎日本整形外科学会認定リウマチ認定医
◎日本整形外科学会 ◎日本再生医療学会 ◎日本メディカルAI学会
■関連ページ
「うちのクリニックに来られない人にも、しっかりと良質な情報を届けよう」
「SNSは人につく」
北城医師のもとで飛躍した理学療法士の奮闘もあって、病院のSNSは患者のみならず、医療関係者からも好評だ。「X」「TikTok」「Instagram」。広い意味でSNSに分類される「YouTube」。北城医師は、これらを、それぞれの特性に合わせて使い分けている。SNSを始めた目的は、「当院に来られない人にも、良質な情報を届けたい」。その目的は、立ち上げ当初から一貫している。
北城医師が自分で自由に投稿できるSNSは、意外にも「X」に限られている。各SNSは北城医師が戦略を立てたが、それ以降の戦術部分はスタッフに一任している。それぞれのSNSの活用は以下の方針である。
- 「TikTok」はライトな整形外科の情報を発信する。
- 「Instagram」は写真や動画をキレイに撮影し、ビジュアル的な要素を強調。病院やクリニックのブランディングページの立ち位置だ。
- 「YouTube」は他SNSのショート動画では伝えきれない情報を伝える。そのため時間は長め。再生数は他より劣るが、ファンとなって長い期間追いかけ続ける傾向がある。
これらSNSの使い分け。試行錯誤の末、この方向に落ち着いた。実はSNSを運用当初、アカウントを病院名にしていた。しかし思うように再生数が伸びなかった。そこで、北城医師はアカウントを自分の個人名に変更。すると順調に伸び始め、軌道に乗った。
SNS戦略の変遷とその効果
北城医師の病院・クリニックのメインの患者は40~50代・女性。SNSを見る世代は、10~20代のイメージを抱くかもしれないが、彼は運用を通して、40~50代も見ていると確信。意外にも、60代以上のユーザーも相当数が見ていて、SNSで確実にアプローチできている。
70代以降となると、北城医師のSNSを見ることはほとんどない。しかし、いざ70代や80代が手術するとなれば、娘世代の40~50代女性が北城医師の評判を知って連れて行く。さらに、自分の子ども世代にも北城医師の病院を勧める。40~50代女性にアプローチすれば、ほぼ全世代に波及する。法人内の病院とクリニックは、このような流れで世代問わずに認知されている。
戦略は北城医師、戦術はスタッフ。両輪で歩む
2018年、足立慶友整形外科・足立慶友リハビリテーション病院を開く際、なんとか開院エリアの40~50代女性にアプローチしたいと考えていた。
そこで、彼は開院イベントを企画。ありきたりな内覧会では、病院側の自己満足に終わる。地域の方々は満足しない。
開院は夏休みのシーズンだった。「40~50代女性を呼ぶ」。これが北城医師の戦略だった。戦略が決まり、性別や年齢がさまざまなスタッフたちと相談。夏休みの子どもが自宅にいて、子育て世帯は負担が大きい時期。「遠出はしたくない。お金も使いたくない。でも近くでお祭りがあるなら連れて行こう」。
戦略で挙がった「40~50代女性」の立場になって考え、夏祭り形式の開院イベントを企画。戦略に辿り着くための方法である戦術。これはスタッフと一緒に練り、かき氷を無料で振る舞うなどに決まった。
その結果、2日間で2000人が来た。
ターゲットをしっかり見定め、スタッフと一緒にゴールを目指せた。これが、成功の一因である。
この夏祭りイベントなど、院内では企画事があれば、具体的なゴールやその方向といった「戦略」は北城医師が考える。彼がまず戦略として向かうべき方向を示し、そのための手段となる「戦術」はスタッフ主導で一緒に案を練る。
他にも「40代女性を呼ぶ」と北城医師が戦術レベルに達していないアイデアレベルの案を出したら、性別、年齢、職種問わずみんなが「夜、クリニックを開いてナイトツアーをしましょう!」など自由に意見が飛び交う環境になっているのだ。

理事長から総帥に。その狙いとは?
ここで、北城医師の今後の展望を紹介する。
「円徳のやるべきことはなんだろう」
北城医師は長年、そのことを考え続けている。円徳では今後新しいクリニックの展開も視野に入れ、まとめ、導いていく。それが総帥として北城医師に求められる役割だ。総帥は英語では「commander in chief」。つまりは「戦略を立てる最高司令官」の役割を持つ。病院、クリニックで構成される法人という組織を統率して導く存在なのだ。
現在のワークライフバランス
北城医師は、総帥としての統率だけでなく、外来や病棟管理といった診察も変わらず行う。ワークライフバランスはどのようになっているのか。彼は金、土、日曜日の週3日が休日。外来は火、水曜日と週2日のみだが、将来的にはより減らし、週1日になる見通しだ。外来がない日は、ミーティングや面談が立て続けに入り、法人のカルチャー形成に集中している。
病院が軌道に乗った現在こそ、週休3日が実現しているが、理事長に就任した当初は1年365日、休みなく働いていた。アルバイト時代とは異なる働き方だった。
外来と病棟管理に忙しい毎日だったが、北城医師は充実感を得ていた。「何をどのように達成したいか」の軸を明確に持ち、実現のために本気だったからである。
それこそ毎日休みなく病院に出て働いていた。アルバイト時代は、休日自体は多かったが、当直など夜勤が多く、生活は不規則。しかし理事長になってからは、休みはないが、家族とは毎日会える。その面では、いい働き方だとポジティブにとらえて奮闘していた。
「医者ガチャ」の解決策
北城医師は、「日本一信頼できて、また行きたくなる医療グループ」を目指し、実現のために邁進中だ。
しかしながら、彼の取り組みだけでは、遠方の方々を助けるのは困難と言わざるを得ない。彼は、その解決にも動きだしている。日本全国、どこにでも志高く、ハイクオリティーな医療を提供しておられる医師が絶対にいる。北城医師は、そういった医師と手を組んで高品質な医療を提供したいと願う。
北城医師の発信力を活かし、SNSなどで、遠方の医師の認知度を高められるよう模索中だという。実際、すでに動き出し、北城医師も全国を飛び回っている。来るべきタイミングにて、SNSで展開していくという。それが、遠方の医者ガチャ問題解決のための第一歩になると彼は信じ、動きだした。
北城医師からのメッセージ
北城医師にとっての幸せは、人生の目的を達成することにある。
医療、仕事を通して、好きな人と、好きなときに、好きなことを、好きなだけできる環境をつくりたいという。彼は、その自由に加え、責任をもって世の中に価値ある仕事に生きがいを持っている。
そして彼は、同じ医療現場で活躍する方々は、「何がしたい」いわば自分の志、コアをしっかり見定めることが大事なのではと考える。そして、もし共感してくれる方々がいれば、一緒に医療法人社団円徳、日本の医療の環境をよりよくしたいとも願っている。
■関連ページ