【答えてくれる先生】
S先生
<経歴>
2019年 関東某大学医学部 卒業/
2019~2021年 都内某人気市中病院A 初期研修プログラム/
2021~2024年 都内某人気市中病院A 内科専門研修プログラム/
2024年~ 都内某診療所A 内科常勤医、都内某病院X 血液内科非常勤医
<資格>
内科専門医取得(2024年)
育休&産休と並行して医師6年目で内科専門医合格
2024年度に合格!その秘訣は!?
2024年度「第4回 内科専門医資格認定試験」に合格したSです。
私は関東某大学医学部卒業後、都内某病院Aで初期研修を受け、同院で内科の専門研修に進みました。専攻医1年目には出産を経験。育休と産休を取得しましたが、同期と同じ医師歴5年で無事に内科専門研修を修了。医師6年目に受験した1回目の内科専門医試験にも、合格しました。
今回は、出産&育児と並行したJ-OSLER対策や、専門医試験の勉強法についてお話しします。これから内科専門医試験を受ける先生や、子育てとの両立を目指す後輩の先生方の参考になれば幸いです。
都内某人気市中病院でJ-OSLERの症例集め。苦労したことは?
日本トップクラスの人気市中病院で研修医に!見学は何年生から開始した?
私は大学在学中から、初期研修は都内の市中病院で受けたいと考えていました。
都内は、初期研修の競争率は高いエリア。希望病院とマッチするため、早めの準備を心がけました。
実際に動き出したのは、医学部4年生のとき。まず情報収集をはじめ、5年生になると、積極的に病院を見学。
いくつかの都内の市中病院を見学し、第1志望は私がのちほど初期研修でお世話になる都内某人気市中病院Aに決定。病院Aは、毎年マッチング充足率が全国トップクラスの人気病院です。ライバルが多く、初期研修を受けるのは至難の業。病院Aの病院見学を何度もくり返し、情報を集め、マッチングに備えました。マッチングでは第1希望で病院Aを登録し、無事マッチ。都内で医師生活が始まりました。
コロナ禍で迎えた研修生活!出産&育児も経験
私の初期研修先の病院Aは、上の先生方もバリバリ働き、驚きました。研修医だけ残る雰囲気はありません。私も日々研鑽に励みます。初期研修2年目の終わり頃、子どもを授かります。妊娠判明とほぼ同時期、病院Aに残り、内科専門研修を受けることが決定。専攻医1年目で出産を経験しました。出産の休み期間が長くなれば、専門研修期間が延長になってしまいます。育休&産休を取っていない同期と同じタイミングで専門研修を終えたかったので、必要最低限の日数で職場復帰しました。
出産直前から出産復帰後にかけて、周囲の先輩医師らには、ずいぶん気にかけてもらえました。私の妊娠中は、新型コロナウイルスが騒がれ始めた時期。ウイルスの影響が未知だったので、感染リスクから当直は免除になりました。併せて、残業も負担を軽減するよう取り計らっていただきました。
出産後も診療部長、研修医担当部署の先生と相談しました。その結果、研修を継続しつつ、並行して子育てできるよう調整していただけました。信頼できる上司と話し合える環境があったこと、感謝しています。
サブスペは血液内科
私は血液内科のサブスペを選択。専攻医1年目から研修修了 まで血液内科を中心にローテートしていました。
血液内科に決めたのは、初期研修医のころ。この時期から、血液内科で集めにくいJ-OSLERの症例を意識していました。初期研修時代、血液内科の専攻医は触れにくいであろう、消化器内科や循環器内科関連の症例を中心に集めるよう努めました。
ちなみに、血液内科は感染症の合併といった疾患も起こりやすく、専攻医になってからも、想定以上にいろいろな分野の症例を集められたように思いました。
〇〇の症例がなかなかなくて焦った
「剖検」症例は、なかなか回ってこなくて焦りました。初期研修医時代に触れられる同期もわずかながら存在していましたが、私が担当した患者さんで剖検はありませんでした。コロナ禍に入り、ただでさえ少ない剖検がさらに減りました。専門医機構から緩和措置があったものの、依然として症例集めは苦戦。上級医に「剖検をお願いします」と熱烈にお願いし、なんとか産休直前に1症例集まりました。臨月に近かったので、座りながら剖検に立ち会ったことを今でも覚えています。
J-OSLERは順調に進められた?
妊娠をきっかけに、当直を免除していただきました。そのなかでJ-OSLERの症例を集めましたが、特に不都合は感じませんでした。当直に入れば、救急外来でさまざまな疾患を集められます。しかしファーストタッチでバシッと診断がつくケースは少数ですし、症例は登録できても、サマリーまで書ける疾患は少ないでしょう。私はそのぶん、入院患者さんを多く担当。入院、外来だけで、十分に症例を集められました。
症例登録と病歴要約は順調?
J-OSLERの症例登録と病歴要約は順調でした。何度も指導医から突き返されるようなことはありませんでしたが、忙しい指導医の先生方の負担を増やさないよう早めの登録を心がけていました。
余談ですが、私の知り合いの同期は某大学病院Bに進み、症例登録でかなり苦労していました。その大学病院Bでは、J-OSLERの登録締め切りが異様に早かったり、突き返されたりと大変だったとのこと。幸い、病院Aの内科上級医の先生方には、スムーズに対応していただけたので、ストレスはほぼありませんでした。これから症例登録する先生は、同じ病院の先輩に事前にやり方や注意点を聞いておくことをオススメします。
専攻医と研修医で症例は被る?譲り合い事情は
私が初期研修と専門研修でローテした診療科では、上級医と専攻医もしくは、上級医と研修医といった形のペア指導が基本でした。つまり、専攻医と研修医が同じ患者さんを受け持たない指導体制となっています。J-OSLERではひとつの症例の登録は原則一人まで。もし、初期研修医と専攻医が同じ患者さんを受け持ったら、専攻医優先で症例をもらえるなど病院ごとにルールがあるようです。症例集めで取り合いになるなどで苦労すると聞いたことがあります。私は、そのあたりのトラブルはありませんでしたが、受け持ち期間をずらしたり、調整したりしている知り合いの先生方もいらっしゃいました。
子育てと両立した内科専門医試験の勉強法とは
専攻医1年目から内科専門医試験の勉強を開始
産休&育休中の医師3年目、専攻医1年目の時期。内科専門医試験の勉強を始めました。といっても、本格的な勉強ではなく、「どんな問題と難易度なのだろうと」興味本位で過去の問題集から開始。
結果、「全然わかんないじゃん!」と焦りを覚えることに……。時期的に早すぎたので仕方ないのですが、驚きのあまり内科専門医試験の勉強に取り組み始めたのです。
使った教材を紹介
手始めに、内科専門医機構が発行する問題集を解きました。くり返しこの問題集を解く勉強法は、正攻法でしょう。しかし問題集の解説文が、私にとって満足いくものではありませんでした。かゆいところに手が届いておらず、理解が深まりません。解けば解くほど、モヤモヤとした気持ちに。「私には合わない」と考え、他の教材も検討したのです。
ここで、私が使った問題集を一通り紹介します。
2つ目は、『THE 内科専門医問題集(医学書院)』です。この問題集は、合計約600問。WEBアプリとも連動しているので、隙間時間にサクサク解けました。
3つ目は、『試験のあとも残しておきたい 「新」内科専門医・総合内科専門医試験対策問題集(中外医学社)』です。この問題集は、良問が多く、各分野の理解を深めるのに役立ちました。また、専門研修を行う上で必要な「臨床の基礎」。この基礎の振り返りもできて、一石二鳥でした。
苦手な部分の補強として、『QBオンライン内科専門医試験(MEDIC MEDIA)』『内科専門医試験直前ファイナリスト2024(ドクスタ)』『内科系専門医試験 Quick Check(イヤーノート)』も活用。
S先生が実際に使っていた問題集
私は電車通勤をしています。自宅から病院Aまで、だいたい1時間は集中して勉強できていました。夜、子どもを寝かしつけてから勉強しようかとも考えましたが、日中に体力を消耗するので、睡眠を優先。直前まで、仕事と育児が終わってからの勉強時間は設けませんでした。
勉強の向き合い方としても「1日に〇〇問はマスト!」みたいな気合の入ったものではなく、通勤中など隙間時間に実施。勉強していて感じたこととして、やはり得意分野はサラサラと解けますが、関りが浅い分野は解説を読み込むだけでも時間がかかりました。一つは消化器系の内視鏡の所見。自分でも苦手意識がありましたが、特に苦労した分野です。
私の試験対策は、動き出し自体は早かったものの、専攻医としての勤務&乳児の子育てに忙殺されました。それに、専門研修修了後は勤務先を変えたことによるバタバタもありました。
試験の3カ月前から、さらに強度を高めて本格的な勉強を開始。夫に子どもの寝かしつけをお願いし、じっくり勉強。寝落ちもときどきしていたのですが、根気強く勉強に取り組みました。
ちなみに、私ほど早くからJ-OSLERや内科専門研修の問題集をチェックし始めた同期はゼロ。育休前から、「お母さんJ-OSLERの登録があるから、帰らないよ」と言うのは嫌だったので、早め早めに動き出しました(笑)。予想はしていたものの、復帰後は子どものカゼや病気が頻繁に起こります。早めの内科専門医の準備で、子育てにも余裕が出たように思っています。
内科専門医試験。率直な感想は?
試験前、出題の確信を持っていた難問がいくつか出題され、大変うれしかったことを覚えています。私は早い時期から、さまざまな問題集とじっくり向き合いました。予想していた問題の出題があったときは、努力が報われた感覚を得ました。
報われた感覚はあったものの、試験終了後に手ごたえがあったかと言われるとそうでもありません。試験後、自己採点もせず、結果を待つのみでした。
結果は無事合格。
各分野の点数を確認してみると、私のサブスペである血液内科はあまり点を取れていませんでした。ちょっと、ショックでした。おそらく、私がローテで回った血液内科は、「血液凝固」関連の患者数が少なく、臨床で触れられる機会が少なめでした。それが影響してか、血液凝固で点数が稼げませんでした。反省として、あらかじめ臨床経験が少ない分野の基礎を、もっと重点的に復習しておけばよかったと思っています。
逆に、神経内科は満点でした。特別、勉強したり、手ごたえがあったりしていませんこの点数は、自分でも意外でした。
内科専門医試験は、全分野で最低限点数を取れないといけません。合計点数が合格ラインに達していても、極端に悪い分野があると、不合格と聞きました。分野ごとに大きく振れ幅がなかったのは、安心しました。
役に立った問題集はコレ
なお、前述した問題集に加え、直前期はケアネットTVのプレミア会員も登録。長門直先生の直前講座が特に役立ちました。講座は非常にコンパクトにまとまっており、分野ごとに、出題されそうなキーワードを複数挙げてもらえ、問題予測も的確。実際に出題もされました。
先ほど挙げた、医師国家試験でお世話になった孝志郎先生の『直前ファイナリスト』も取り入れたことで、安心感が増しました。
一つの教材をじっくりやりこんで知識を固めていくタイプの先生もいるでしょう。その点、私は問題集を複数そろえ、全て一通はやるものの、やりこまず、知識を固めました。どちらがいいというものではなりませんが、このように対策して合格できたことを後輩にお伝えしておきます。
後輩へのメッセージ
直前で焦りたくない人は、毎日短くてもコツコツ勉強し続けることです。あとは、前泊するなら、ホテルも要注意です。私は試験当日朝にバタバタすることを避けたくて、試験会場近辺のホテルに前泊。同じように前泊する受験生が多かったのでしょうか。ホテルの空きが少なく、宿泊費が高くなっていました。もし前泊を検討するのでしたら、早めに部屋をおさえるようにしましょう。
また、試験当日、近くで音楽イベントが行われていました。音楽イベントの音が試験会場まで漏れ聞こえており、集中を乱されたのを覚えています。想定外のことが起こっても、落ち着いて解けるようにがんばってください!
内科専門医試験対策の教材
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