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初期研修と後期研修は違う病院でも大丈夫?専門医資格取得の流れを再確認!

医学部生は医学部を卒業し、医師国家試験に合格後、最初の2年間でいろいろな診療科をローテーションする初期研修を行います。その後専門診療科を選択し、より専門的な研修を行う後期研修へと進みます。専攻医の研修は医師人生の方向性が決まる非常に大切な時期であるため、制度をしっかり理解することが必要です。

後期研修先は初期研修と違う病院でも大丈夫なのか?などの疑問を抱く方も多いため、今回は後期研修先の選び方と、専門医資格取得までの流れを丁寧に解説します。

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専攻医が後期研修先を選ぶ方法

初期研修を修了した後に専攻医として研修する後期研修先はいくつか選択肢がありますが、大きく分けて以下のように分類できます。

1.初期研修をした病院(市中病院、大学病院)で後期研修を行う

2.後期研修から初期研修とは違う病院で後期研修を行う

ここではそれぞれの研修先の選び方について簡単に流れを解説していきます。

初期研修をした市中病院で後期研修も続行

以前と比べて後期研修を市中病院で行う医師が増えてきており、その中で初期研修と同じ病院で後期研修を行う方もいます。このケースでは病院全体の仕組みや雰囲気をある程度初期研修中に把握できているため、慣れ親しんだ環境でさらなる経験を積むことができるでしょう。限られた研修期間中に効率的に知識と経験を身につけられる点が大きなメリットです。

しかし、気を付けていただきたいのは病院全体と各診療科のアクティビティや雰囲気が異なる場合が多いことです。初期研修での経験から安心しきって下調べをせずに後期研修に挑むのではなく、後期研修の研修環境がどのようなものになるのかは、先輩などから情報を取得し、事前に把握しましょう。

大学病院の医局に籍を置き、大学病院で研修

後期研修は大学病院で行う初期研修医が多く、一般的といえます。
その理由は、専門医取得に向けての研修プログラムが充実しており、資格取得にあたる不安が少ないためです。また多くの同僚がいるため、仲間と協力して後期研修を乗り越えることができたり、多くの上級医から医師としてのロールモデルを見つけやすかったりするメリットがあります。

一方、大学病院のデメリットはハードな環境が多く、給与が少ないという点です。しかし、2024年4月からは「医師の働き方改革」が導入され、勤務時間に上限が定められます。そのため、大学病院での医師の労働環境は改善する方向に向かう見込みです。

後期研修から初期研修とは違う病院で研修

後期研修を初期研修とは異なる病院で行うことも可能です。初期研修を行ってみて研修先のイメージが想像していたものと違った場合や、後期研修は自分の希望する専門診療科のアクティビティが高い病院で働きたいなどの考えから、研修先を変える初期研修医が多くいます。

初期研修先と後期研修先を変える場合は、特に事前の情報収集、病院見学をしっかりと行うようにしましょう。レベルアップした学びを得たいという思いから、後期研修先を変えたものの十分な知識や経験が得られない研修先であった場合には、落胆してしまう可能性が考えられるためです。
初期研修と同じように事前のイメージとは違ったという点で失敗しないように注意しましょう。


初期研修と後期研修病院を選ぶ場合は早めの行動がカギ

後期研修を選ぶ時期は、医師人生の方向性が決まる非常に大切な時期でもあるため、しっかりと時間をかけることが望ましいです。しかし、新専門医制度の影響もあり、後期研修先を選ぶためには早めの行動が必要になってきています。
ここでは後期研修先を選ぶ上で、どうして早めの行動が求められるようになったのか解説します。

新専門医制度によって定員数が減少

新専門医制度によって人の集まりやすい人気の病院や都市部の病院(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)は採用人数に上限が定められるようになりました。これをシーリングといいます。そのため、首都圏の人気病院で研修を行うことはより難しくなっており、希望の病院で後期研修を行いたい場合は早めの準備が必要です。

具体的には、初期研修中の早い段階から、つまり1年目の頃から後期研修を行いたい病院をリストアップしておくことが理想的です。

初期研修2年目からは病院見学を積極的に

後期研修先を決めるためには病院見学をして、実際の雰囲気や現場の医師の話を聞くことが非常に大切です。初期研修2年目からは、病院見学においても早めの行動が欠かせなくなってきます。
病院見学の時期は、夏季休暇のとりやすい2年目の7月頃がタイミングなのではと考える方が多いですが、その時期だと人気病院の見学者は埋まっている可能性が高いです。確実に希望する病院で病院見学を行いたい場合には、4~5月のうちにメールで病院とアポイントをとり、5~6月くらいに見学を始められるとよいでしょう。こうした早めの行動は、志望度の高さをアピールすることにも繋がります。
また、アポイントのメールを送る際には、失礼のない文章にすること、見学の後はお礼のメールを送ると、印象アップにも繋がるでしょう。


後期研修を利用した専門医資格取得の流れを再確認

初期研修が医師としての基礎を固めるための研修であるのに対して、後期研修は専門診療科において専門医資格取得のために、専門的な知識を身につける研修です。初期研修終了後から専門医を取得するまでの流れを解説します。
専門医がどのようなプログラムで育成され、準備をどのようにしていくのか理解しておくと、自身の研修もより身になるでしょう。

専攻医の登録を行う

研修先を決定するためには、まず専攻医登録システムへの登録が必要です。専攻医登録が完了して初めて専門研修プログラムへの応募が可能となります。

日本専門医機構のホームページ上で専攻医登録手続きを行った後は各研修プログラム内容を確認し、希望する病院の研修プログラムへ応募する流れです。
一見、初期研修のマッチングシステムと同じように感じるかもしれませんが、応募は1領域の1プログラムに限ることや、専門医機構がマッチングを行うわけではない点が異なるため注意が必要です。あくまでも自分で応募先を決定し、応募手続きを行います。そのため、事前に希望先と連絡を取り合ってから応募するケースが多く見られます。

また、初期研修先の病院長の推薦状を必要とする病院もあるため、提出書類もしっかりと確認するようにしましょう。その後、試験や面接を受けて専攻医登録システムを通じて採否の結果が通知されます。

一次登録で研修先が決まらなかった場合、二次登録に進む

後期研修先の採用できる専攻医は、新専門医制度になってから定員数が設けられるようになりました。惜しくも定員オーバーしてしまった場合には、定員を満たすことのできていない病院に向けた二次登録を行うことが可能です。
また何らかの理由で一次登録機関中にプログラムへ応募できなかった方も二次登録期間に応募することができます。

各病院の研修プログラムを受ける(最低3年)

無事に後期研修先が決まったら、各病院の研修プログラムに則って研修を行います。各プログラムは専門医機構が定める基準を満たしたものであるため、しっかり研修を積めば専門医受験資格を得ることができます。
研修内容(関連病院への出向、待遇面、労働環境)は病院によって異なるため、プログラム希望を出す前に情報収集を欠かさず行いましょう。研修プログラムは通常基幹施設と連携施設で研修することで、研修が修了する仕組みとなっています。

しかし、出産や育児などの「合理的な」事情があって、基本領域の学会に認められた場合は各学会において定められた「単位数」や「経験すべき症例」を満たせば専門医受験資格が得られるというカリキュラム制を選択することも可能です。

もし後期研修を開始した後に診療科を変えたい(転科)場合は、現行の制度では年度途中の転科は認められていません。そのため、転科したい場合は翌年度からとなり、新たに手続きが必要となります。時間も労力も負担が大きいため、診療科は慎重に選んでください。

基本領域の専門医認定を受ける

専門研修は大きく「基本領域」と「サブスペシャリティ領域」の2つに分けられます。基本領域には19の診療科(内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科、総合診療科)があります。

専攻医は基礎領域から1つの領域を選択し、基本領域の専門医認定を受けることを目標に3年以上の研修を行います。各専門医によって細かい条件は異なりますが、専門医試験受験資格である一定の症例数の経験、学会発表や論文数などを満たした場合に、専門医資格試験を受けることが可能です。
試験内容には、筆記試験と面接試験があり、この試験を合格すると基本領域の専門医資格を取得することができます。

サブスペシャリティ領域へ進む

基本領域における専門医を取得した後、サブスペシャリティ領域の専門医資格取得に進むことになります。サブスペシャリティ領域は基本領域の診療科に関連した領域で、より専門性を深めた研修を行うものです。例を挙げると以下のようなサブスペシャリティ領域があります。

基本領域が
内科の場合
消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、血液内科、内分泌代謝・糖尿病内科、脳神経内科、腎臓内科、膠原病・リウマチ内科、アレルギー、感染症、老年科、腫瘍内科、肝臓内科、消化器内視鏡、内分泌代謝内科、糖尿病内科
基本領域が
外科の場合
消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺外科、内分泌外科
基本領域が
放射線科の場合
放射線診断、放射線治療

サブスペシャリティ研修は基本領域の専門医取得後から行われるのが原則です。しかし、医師になってからサブスペシャリティ領域の専門医資格取得までの研修期間は長期となります。そのため、サブスペシャルティ領域の一部では、基本領域と同時進行で研修が可能なものがあります。サブスペシャリティ領域は、基本領域の専門医で選べるサブスペシャリティ領域が異なるため、り注意が必要です。


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まとめ

後期研修先の選び方は、大きく分けて初期研修をした病院(市中病院、大学病院)で後期研修を行う方法と、後期研修から初期研修とは違う病院で後期研修を行う方法があります。そのため、初期研修先と違う病院でも問題なく研修を行うことが可能です。どのような後期研修先を選択するのかにかかわらず、後期研修先の情報収集は欠かせません。職場の雰囲気や労働環境、専門プログラムの充実度などをしっかりと調べ、失敗のない後期研修先選びにしましょう。

後期研修先選びにおいて、一人で情報収集を行っていくだけでは不安がつきものです。そのような時にシーメックコンサルタントなどのアドバイザーに相談することがおすすめです。初期研修中の忙しい中で、後期研修先を決めるのは大変です。しっかりと準備をして悔いのない後期研修ができるようにしてください。