医師インタビュー

【岐阜/岐阜勤労者医療協会みどり病院→総合診療専攻医インタビュー】99床小規模だからできる橋渡しの医療

99床・医師17名 外来から看取りまで一貫して担当~地元に根差す医療~

私がお答えします

【 水野 佑一(みずの ゆういち) 医師 】
出身地:岐阜県
2019年 某大病院 初期研修~
2021年 みどり病院 初期研修修了
2021年 みどり病院 総合診療専攻医~
2023年 みどり病院 総合診療専攻医修了
2024年 みどり病院 家庭医療専攻医~
※2024年現在みどり病院は基幹型臨床研修病院ではありません。

入院から看取りまで患者さんと真剣に向き合える

みどり病院を研修先に選んだ理由

── 初期研修の途中からみどり病院に移ったのですね

水野医師: マッチング時は、当院とは別の某大病院を希望しました。当時の私は、他の医学生たちと同じような待遇・環境を大切にしていました。大きい病院は、「いろいろな疾患を学べる」「専門医が多くて指導体制が充実」などが魅力でした。その点は確かによかったと思います。しかし実際に働き続けると、「自分のやりたい、目指したい医師像とは違う」。そんな違和感が募り、思い切って初期研修2年目からみどり病院に移りました。

── 水野先生がマッチングした某大病院は人気の研修先ですね。移ろうと思ったきっかけはなんでしょうか

水野医師: 「継続して一人の患者さんを診続けたい」。そんな自分の理想の医師像を大病院では叶えられない。そう思ったのです。決定打となったのは、大病院で神経内科にローテしたときのこと。当時、社会的背景が複雑な患者さんを受け持ちました。この方は、脳梗塞の急性期治療後に消化管出血を起こして消化器内科に転科となりました。私がいた神経内科と一切の関わりがなくなったのです。「病棟・ベッドはそのまま。でも自分はもう診られない」。何もできない歯がゆさに耐えられなくなったというところでしょうか。

── どのようにしてみどり病院を探し当てたのでしょうか

水野医師: 自分でみどり病院のHPを見て興味を持ちました。99床と小規模ながら、地域に根付いた医療をしていると思い、病院見学をお願いしました。

── 病院見学ではどのような印象でしたか

水野医師: カンファレンスに参加したのですが、薬剤師、看護師、技師さんなど多職種の方々が平等に意見し合っていたのが印象的でした。大病院では、医師の発言権が強く、重要視されがちです。しかしみどり病院では、医師がコメディカルさんの意見を聞き入れ、治療方針を決定していました。その在り方に、興味が湧きました。

1日のスケジュールは?

みどり病院総合診療プログラム
1日の流れ

8:50 出勤&朝礼
午前中:外来、病棟対応
午後:エコー検査、病棟対応
17:20 退勤

カンファレンス:週1回
休日:土曜日、日曜日
当直:3回/平日 2~3回/休日

水野医師: 総合診療のプログラム上、いろいろな病院を回っています。エコー検査は主に火曜日が担当ですね。

── 毎日、定時に帰れているでしょうか

水野医師: 週1回、夜の外来を担当していて、その日は20時や21時まで残っています。しかしそれ以外の日は、重症患者さんの受け入れなど、よっぽど緊急な件がなければ定時に帰れています。

── QOLは取れているとお考えでしょうか

水野医師: 要領さえつかめば、定時に帰れます。他院よりもQOLはいい方だと感じています。ただ、勤務中はみっちりと仕事が入っているので、時間外でしっかりと休めるという働き方ですね。

── 当直は医師1名で当たるのでしょうか

水野医師: 当直は医師1名です。当院は2次救急病院です。電話で脳梗塞や心筋梗塞といった救命救急の相談が入ると、患者さんの不利益にならないよう慎重に検討しています。救命救急を受け入れて当院で初期対応をしても、結局は他院に送ることになりかねません。なので、重篤で緊急性が高い場合は、電話で相談をもらった時点で、高次医療機関に受け入れてもらうようにお願いすることが多いですね。

── 当直で緊急の対応はありますか

水野医師: あります。突然、患者さんが吐血したなどの連絡が入ります。連絡が入れば、急行して自分で直接3次救急病院の先生に電話します。それから患者さんの状態を伝え、紹介状を作り、救急車と連携して行ってもらう形です。

総合診療プログラムの内容は?

── 総合診療専門研修プログラムは総合診療の他、内科、小児、救急、訪問を受けると思いますが、予定は決まっているのでしょうか

水野医師: 外病院で学びます。外病院は、岐阜県と愛知県の5病院。私は2年目に岐阜大学医学部附属病院で内科の研修をしました。

総診Ⅰ 総診Ⅱ 内科 小児科 救急部門 訪問診療
みどり病院
岐阜県総合医療センター
協立総合病院
こがねだ診療所
すこやか診療所
岐阜大学医学部附属病院

── 協立総合病院も内科に対応していますが、岐阜大学にした理由はあるのでしょうか

水野医師: 愛知県の協立総合病院でも受けられますが、引っ越しが必要だったので岐大を選びました。私は専攻医1年目のときから、岐大総合診療の専攻医の先生方と、定期的にディスカッションをしていて、すごくできる先生方だと感じていました。岐大の総合診療科は、いろんな疾患が出てきて、それらにも興味があったので、希望を出しました。

―― 救急救命、小児の外病院は決まりましたか

水野医師: 小児と救急の研修は岐阜県総合医療センターで学びました。こちらのセンターは、当院から車で約20分。近いこともあって、3次救急の処置が必要になったときにもよくセンターに送っていますね。センターでは救急の症例が多彩で、設備も充実しています。難病指定施設なので、小児の遺伝子や神経関係の珍しい疾患を経験できますよ。

── 訪問診療はいかがでしょうか

水野医師: みどり病院と提携している診療所がいくつかあります。そのうちの1施設が岐阜県関市のこがねだ診療所です。この診療所は、僻地医療の研修施設に該当しており、他病院の総合診療の専攻医も受け入れていますね。

── みどり病院で総合医療、岐阜医療センターで救命、こがねだ診療所で訪問診療を学ぶイメージでしょうか

水野医師: そうですね。1年目はみどり病院で他科の先生、コメディカルさん、他施設との連携を中心に学べたかなと思っています。反面、診断や鑑別に行き詰まりを感じていました。ただ、2年目の岐大の内科研修は診断・鑑別・治療がメイン。ウィークポイントをある程度磨けた実感があります。基礎力をつけた上で、3年目にみどり病院と岐阜総合医療センターで救急・小児の研修、こがねだ診療所で訪問診療という形ですね。

多い症例は?

── どのような症例や患者さんが多いでしょうか

水野医師: みどり病院はコモンディジーズを抱えているご高齢の患者さんを多く受け入れています。薬を飲みたくない、家族と疎遠、支援を受けながらなんとか生活など、複雑な人間関係・社会背景をお持ちの方も大勢います。

── 総合診療医として患者さんとはどのように関わるのでしょうか

水野医師: 外来で入院を受けるところから始まり、慢性期、訪問診療、看取りまで主治医として、最期まで患者さんと向き合っています。

── 記憶に残っている症例はありますか

水野医師: 最初から最期までという意味では、外来で初めて診た患者さんを入院で受け持ち、「末期がんだから家に帰りたい」という希望を聞き、一緒に頑張って帰宅してもらったことがあります。この際、帰宅後も訪問診療を行い続け、看取りまで私が担当しました。

── 岐阜大学医学部附属病院の症例はいかがでしょう

水野医師: 岐大に限らず、大学病院は基本的に難病や診断困難な症例でも、治療前提の元気な人がいらっしゃいますね。みどり病院では、患者さんの疾患だけでなく、家族や社会をひっくるめてフォローしています。岐大でそういうフォローのケースは少なかったように思います。

── 何名くらいの主治医になるのでしょう

水野医師: 医師1名で、だいたい患者さん7、8名を受け持ちます。

指導体制と職場の雰囲気は?

── みどり病院の指導はどのようなスタイルでしょうか

水野医師: 初期研修のときから「とりあえずやらせてみる」って感じですね。点滴、検査、治療方針の決定、患者説明、全部最初からやりましたよ。お昼休みになると、初期研修医のカルテを指導医がチェックをします。カルテを見て、検査が足りないなどの指摘、今後の方針を相談できます。日々のなかで少しずつ覚えて、実践していきます。

── 水野先生が後輩に教える機会もあるのではないでしょうか

水野医師: 今年から入った専攻医がいて、私が教えることもあります。この1年目の先生は、大きい病院で初期研修をしていました。なので、主治医は未経験です。この先生にも主治医となってもらい、上級医や私が毎日チェックをしています。外来はカルテを見て、「明日また来てもらった方がいい」「こういう考えはよかった」などフィードバックするようにしています。

── 後輩の当直のサポートもするのでしょうか

水野医師: 勤務体制的に私しかいないときは、救急車が来ると最初にやってもらっています。私は後ろに立って、対応が終わった後に後輩の評価や今後の方針を聞いて相談しています。

── みどり病院で関わる方々の年齢層はどのようになっていますか

水野医師: 40代の中堅の先生が3人ぐらい。あとは研修中の先生を除くと60代を超える先生がほとんどです。初期研修から同期として一緒に頑張っている先生も1名います。子育て中で、当直に入らずに働いている女性医師もいます。

── 指導担当は決まっているのでしょうか

水野医師: プログラム責任者の40代の先生がメインです。教育熱心な方で、いつも親身に教えてくださいます。他に40代の内科の上級医が何名かいて、その先生方にもよく相談しています。外科はもっと上の先輩医師で、必要があれば相談しています。どの先生も気軽に話しかけられる雰囲気ですね。

── 総合診療はコメディカルさんとの連携が多いイメージがありますがいかがでしょうか

水野医師: はい。例えば入院症例では週1回病棟カンファレンスで薬剤師・看護師・リハビリ・MSW・栄養士が一堂に会します。情報共有で足りなかったら、すぐその場でチームカンファレンスが始まることもあります。すごく距離が近くて、連携が取りやすい関係です。

── 手技をすることはありますか

水野医師: エコー検査を学びたくて、希望を出しました。週に数回、腹部や心臓などのエコー検査を検査技師の方に教えてもらっています。あとは胃カメラも時折やっていますよ。

ポートフォリオJ-OSLERと J-GOALの進捗は?

── J-OSLERとJ-GOALの進捗はいかがでしょうか

水野医師: 総合診療のJ-OSLER、J-GOALはもう作り終わりました。ただ、サブスペシャルティの家庭医療はあまり進んでいません。

── これまでJ-OSLERとJ-GOALに溜めた症例は使えませんか

水野医師: 総合診療の7領域はほぼ使えるのですが、家庭医療では書き方が異なり、追記も必要になりそうです。そういう意味で進んでいない状況ですね。ただポートフォリオに落とし込めそうな症例は何件かストックしているので少しずつ書き出そうと思っています。

── 総合診療の先輩に相談はできないでしょうか

水野医師: 当院で総合診療プログラムの修了判定が出たのは私が一人目。当院で前例がないので、病院内ではなかなか相談できません。

── 初めての総合診療プログラム修了判定とのことですが、困ることはありませんか

水野医師: そうですね、病院側も初めてのことで何が必要か把握できてはいない状況です。しかし外病院で回った岐大。そこの総合診療の先生方とZOOMなどで情報交換できています。なので、どうしようもないほど困ってはいません。

診療所と3次医療病院の橋渡しで患者さんを見守る

── 訪問診療は医療資源が少なくなることもありますよね。苦労はありましたか

水野医師: 他院の訪問診療では、CVなどの手技が必要になることもあると思います。しかし私はそのようなケースはありませんでした。私がこがねだ診療所で訪問診療をしていたときは、PICCが必要な患者さんがいたら、みどり病院に紹介所を書いていました。訪問診療が一通り終わった後に、みどり病院に行って自分でPICCを入れるようにしていました。

── では診療所とみどり病院は近いのでしょうか

水野医師: 距離はそこそこありますが、ほぼ1本道。車さえあれば、そんなに遠くは感じません。「この患者さんは詳しく画像検査した方がいいな」と判断したら、みどり病院で検査オーダーもできます。まず診療所で診療して、みどり病院に行ってCT撮って、また診療所に戻ってきて結果説明なんてこともできます。立地的に恵まれていますね。

内科と総合診療科の違いは?

── 一般の方にはあまり違いがわからない内科と総合診療科。水野先生が考える違いはなんでしょう

水野医師: 内科は病態や疾患を詳しく検査、治療します。検査や治療の経過を突き詰めて分析し、診断や治療に結びつけます。
総合診療は内科が得意とするような検査や治療で芳しくならなかった患者さんが、「日常や社会生活に困ってなかったらそれでいいよね」と捉えます。
つまり病態や疾患を突き詰めるというよりは、患者さんがどう思っているかに重きを置く感じでしょうか。

疾患とか病態を追求して、よりよい医療に繋げていこうとするのは内科。
診療受診した患者さんの満足度を上げていこうとするのが総合診療。
そんなイメージです。

みどり病院の魅力と長所

── みどり病院は建物が新しくなると聞きました

水野医師: 2024年5月から病院が新棟に移転となりました。場所は道路のほぼ隣。ほとんど変わりません。病院が新しく、キレイになるのは患者さんだけでなく、働く方もうれしいですね。

── 新しくなってなにか変化はあるのでしょうか

水野医師: 病床数は変わらず99床のままで規模は変わりません。

── 地域の診療所と高次医療施設を回れるプログラムはみどり病院の長所に思いますがいかがでしょうか

水野医師: みどり病院は病床数が少なく、専門医も多くはありません。治療しきれない患者さんは、岐大など近隣の病院に紹介状を書いて送っています。みどり病院の総合診療プログラムは、送る側、送られる側のどちらも経験できますから、患者さんを長く見守れますよ。その点はとてもいいのではないでしょうか。

── あらためてみどり病院の長所を教えてください

水野医師: 病床数が99床。すごく少ないと感じるのではないでしょうか。しかし、「大病院≠いい研修」。大きいからいいというわけではありません。当院では、主治医として動くことを求められます。コメディカルや患者さんのご家族に接する機会は多くなります。連携を取って働けるところは、みどり病院のいい部分です。
この環境でしっかり研修できる病院。それがみどり病院の特徴でしょうね。

── みどり病院のアクセスはいかがでしょうか

水野医師: 私は休日に各務原市に行くことが多いです。名古屋も高速道路を使わなくても1時間ほどで行けます。車があれば何も困りません。ただ、岐阜駅はちょっと遠いですが、バスに乗ると30分ぐらいで着きます。

―― 水野医師、ありがとうございました。

まとめ

今回は、総合診療専攻医として後期研修中の水野医師にお話を伺いました。研修先を選ぶ際のポイントが見えてきたのではないでしょうか。
専門分野に合った研修先を選べると、キャリアの土台を効果的に作ることができます。充実した経験を積めるよう、参考にしてみてください。

専攻医・シニアレジデント研修時の処遇

募集人員
4名
勤務時間(定時)
8:50 ~ 17:20
当直
3~4回/月
給与
3年目 約710万円
4年目 約740万円
5年目 約800万円
*当直(月2~3回)・日直(月1~2回)の手当支給を含む金額です。

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ここまで読んで、研修先を選ぶ際におさえるべきポイントが見えてきたけど、もっと病院の詳細情報を知りたい、 専門が決められないなど、さまざまなお悩みがあると思います。

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