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製薬会社のメディカルドクター仕事内容を紹介|製薬業界のメディカルドクターとして活躍できる道【Vol.1】|臨床医師のキャリアパス

メディカルドクターについて、あまり知らない医師も多いでしょう。そこで、メディカドクターの仕事について、Vol.1~3と3回に分けてご紹介します。業務内容、雇用条件、求人票のイメージや実態など気になる情報が目白押しです。

メディカルドクターは主に3部門で活躍

メディカルドクターのことをご存じでしょうか?

製薬会社でグローバルに活躍!
ご存じですか?製薬会社で働く医師。メディカルドクターのことを。
製薬会社の治療薬開発・販売過程において、医師の持つ専門性は欠かせません。
メディカルドクターは、勤務医とはまた違った魅力が詰まっています。例えば、グローバルなところ。製薬会社では、海外の仲間たちと協働の機会が多いので、英語力を活かせ、より磨きをかけられます。加えて、製薬の仕事は世界中の人たちに届きます。こういったグローバルの仕事は、非常に働きがいを得やすいでしょう。

在宅勤務OK!土日祝日が
ワークライフバランスも優れています。
業界的に在宅勤務、フレックスタイム制が当たり前。会社員なので、当直の必要もありませんし、土日祝日も基本的にはお休みです。さらに、外資系であっても、日本国内で法人化しているので、普通のサラリーマンのような定年制、有給日数があります。

本記事Vol.1では、業務内容と一般的な雇用条件についてご紹介します。解説は、製薬業界で長年勤務し、現在は医師を製薬業界に紹介しているヒューマンダイナミックス社の堤康行氏です。

教えてくれる人

株式会社ヒューマンダイナミックス 代表取締役 堤康行氏

ノバルティス、イーライリリーおよびCRO * のパレクセルで、主に臨床開発とメディカルアフェアーズ部門に所属し、約30年間にわたり各部門のメディカルドクターと業務を共にする。製薬会社およびCROでの業務内容のみならず、近年の製薬業界動向や雇用条件も含めたクローズ情報に精通。その確かな経験と豊富な情報をもとに、製薬業界への医師転職サポートを行う。

* CRO:Contract Research Organization(開発業務受託機関)製薬会社と契約して臨床開発などの業務を受託する会社

製薬会社勤務のメディカルドクターはどのような業務を担当する?

メディカルドクターは3部門に分かれて活躍
製薬会社勤めのメディカルドクター。主には、次の3部門に分かれて雇用されます。

① 臨床開発
② 安全性情報
③ メディカルアフェアーズ

それぞれ仕事内容が異なります。その違いについて、新薬開発を例に挙げて簡単にご紹介します。まずは、新薬開発の流れを図で紹介します。

新薬研究の開発プロセスと各部門の活動時期
種類にもよるのですが、おおまかには下図のような流れになります。それぞれの段階が年単位で進行します。月日をかけながら新薬は販売に至るのです。

製薬会社でメディカルドクターが活躍する主な部門は、①臨床開発、②安全性情報、③メディカルアフェアーズになり、それぞれの部門が担う役割と、その部門でメディカルドクターが担当する主な業務内容は次のとおりになります。

臨床開発・メディカルアフェアーズ・安全性情報の解説

① 臨床開発

●役割

新薬の承認を得ることが主な目標です。そのため、臨床試験の企画立案、試験の実施を行います。

●他組織との関わり

開発チーム内では、中心的なメンバーとなって担当者をサポート。臨床試験の結果などをKOL(治験責任医師)と協議したり、PMDAの医師と資料などについてディスカッションしたりします。

●詳しい業務内容

PMDA(*1)が要求する承認要件を満たしながら、臨床試験(第一相から第三相試験)を企画・実施。製造販売承認の取得を目指す。主に以下の業務を担当。

1. 対象となる疾患領域の専門医師(KOL)の意見を治験に反映させるため、KOLと情報交換する。 2. 臨床開発計画や、臨床試験に必要な資料(プロトコール、同意説明文書など)に対して、医学的な観点からコメント。 3. 臨床試験実施中に発生した副作用などの対応、指示。 4. 試験結果の論文や製造承認申請資料の作成に参画し、医学的な観点からコメント。 5. 海外の本社・支社に所属する医師とともにグローバルメンバーとして会議などへ参画し、日本の医療状況や規制などについて協議。

*1 PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency):医薬品医療機器総合機構の呼称。厚労省の外郭団体で、安全性評価や新薬の承認などを審査する。

② メディカルアフェアーズ

●役割

育薬・製品価値の拡大などが主な目標です。そのために、市販品の最新データをさまざまな医療機関に伝えます。臨床試験のエビデンスをさらに補強するために、データジェネレーション(研究により臨床的エビデンスを創出すること)を図ることも主な業務になります。

●他組織との関わり

メディカルチーム内ではデータジェネレーションが主な業務です。そのほか、MSL(情報提供・共有を通じて新たな治療法などを普及させる職種)の指導も行います。KOL(治験責任医師)との情報交換のほか、各種学会に出席、情報収集および情報発信も行います。

「臨床開発」「メディカルアフェアーズ」役割イメージ図

臨床開発は承認に必要な最小限のエビデンスのデータを収集。それに対してメディカルアフェアーズは臨床試験のデータに加えて、より広く、多くのエビデンスを集めることに従事します。

●主な業務内容

研究開発やマーケティングなどの社内関連部門と協力。高度な医学・科学的な知識を基に、医療従事者と情報を交換。製品価値の最大化に貢献する。主に以下の業務を担当。

1. 医療現場でのアンメットメディカルニーズを収集し、社内関連部署に提供することで、新薬の研究開発やマーケティング戦略に活かす。 2. 医薬品の医療における価値を最大化するためのメディカル戦略を立案・実施。 3. 臨床研究又はデータベース研究などによるエビデンスの創出。 4. 医療現場に提供する資材の医学・薬学的観点からの評価や確認。 5. 「臨床研究に関する倫理指針」を遵守し、臨床医師が実施する医師主導型臨床研究をサポート。 6. メディカルアドバイザリーボードなどの会議立案および開催。 7. 社内関係者への医科学的教育。

③ 安全性情報

●役割

治験薬・市販薬の安全性の監視活動が主な業務になります。そのため、臨床試験における治験薬投与によって発生した全ての有害事象を収集・評価します。

●他組織との関わり

安全性情報部内で治験薬・市販薬のデータをまとめ、PMDAや医療機関・薬局に報告・提供をします。また、共同開発の医薬品については、提携会社に情報共有を担当することもあります。

●主な業務内容

有害事象情報を収集・評価し、PMDAや医療機関に報告。あわせて、新規開発薬剤の臨床試験における安全性情報を検討・解析。副作用の発生を減らし、重篤化させない対策(リスクマネージメント)を立案する。主に以下の業務を担当。

1. 治験薬および市販薬の使用に伴い発生した有害事象、文献や学会などで発表された有害事象について、因果関係と重症度を評価。 2. PMDAへ報告される安全性情報の作成や添付文書の改訂作業に参画し、医学的な観点からコメント。 3. 治験の実施中やその後に報告された副作用情報から、予測される副作用の頻度と重症度を最小化するためのリスクマネージメントプランを立案。 4. 新薬の販売とともに実施が義務付けられる製造販売後調査(Post Marketing Surveillance:PMS)に対して、実施計画書の計画・作成に参画するとともに、集計結果に対して医学的な観点からアドバイスを行う。

メディカルドクターの待遇・雇用条件は?

製薬会社で働くメディカルドクターの、一般的な雇用条件は以下のようになります。

勤務体系
完全週休2日制(週5日勤務)
フレックスタイム制(コアタイム例:10:00~15:00)を導入。
在宅勤務を許可している会社が多い。
兼業
勤務外で兼業(臨床診療)を許可する会社が多い。
休暇
有給休暇の取得率は高く、連続休暇も可能。
育児休暇・時短制度を完備。
学会参加
担当治療領域の国内外学会は業務として参加(交通費、宿泊費、外勤手当は会社支払い)。
収入額
月収の12カ月分+賞与額で提示。
初年度(製薬業界未経験)は一時的に1,200〜1,800万円。
諸手当
通勤手当、住宅補助は別途支払い。
定年制
外資系企業であっても日本法人であることから、定年退職年齢60~65歳を導入。

上記のように、勤務時間ならびに勤務場所を選択できる自由度が大きく、また、休日に勤務した場合は代休を取得できます。週2日の休日は確保されています。これらの制度を利用することにより、育児などと両立しながらの勤務がよりしやすくなります。

これまでに製薬会社へ転職のお手伝いをされた医師の例を教えてください

ワークライフバランスを図りやすい製薬会社のメディカルドクター。キャリアの選択肢として魅力的ではないでしょうか。しかしほとんどの医師にとっては、全く経験がなく、疑問も尽きないことでしょう。そこで、メディカルドクターの実例をいくつかご紹介します。

A医師(製薬会社入社時:27歳)

リウマチ内科専攻医として基幹病院で勤務。ご自身のキャリアプランとして、臨床診療の経験は4年で一区切りと考えられていたことから、製薬会社への転職活動を開始。「臨床医として経験が浅い」との理由で希望とは別職種のメディカルアフェアーズ・MSL職を打診され同意。外資系製薬会社に入社する。入社後はMSLとして担当領域の専門知識と製薬会社勤務に必要な知識を習得。入社半年後に、海外本社で勤務を経験。帰国後はメディカルアフェアーズのメディカルドクターとして、担当製品の価値を最大化させるデータの創出業務で活躍されている。

B医師(製薬会社入社時:31歳)

内分泌内科として勤務していた。臨床以外でこれまでの経験を活かせる場を探し、専門医の資格習得を機に外資系製薬会社のメディカルアフェアーズに入社。入社後3年目の現在はサイエンスリードとして臨床研究論文の作成などで活躍されている。

C医師(製薬会社入社時:32歳)

麻酔科医として勤務していた際に新薬の臨床試験に参加。製薬会社の業務に関心を持つ。適切な情報提供を行うことで医療に貢献したいとの思いから内資系大手製薬会社の安全性情報に入社。現在はメディカルインフォメーション業務で活躍中。

 

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