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医師が開業時に知っておきたい!財務の視点|税理士法人 和

プロフィール

税理士法人和

税理士法人 和(なごみ)は、平成4年創業、本社は大阪市中央区。東京都千代田区に支社。クライアント数、約1,000件。医業経営コンサルタント協会会員、TKC全国会医業・会計システム研究会会員、TKC全国会資産対策研究会会員、日本M&Aセンター理事会員、JPBM医業経営部会会員、一般社団法人メディカルスタディ協会監事。

地区医師会の顧問や医療機関へのアドバイス等の医業経営コンサルティングと、出資持分のない医療法人への移行などの事業・財産承継を中心とした資産税コンサルティングに強みを持ったサービスを提供している。厚生労働省委託事業や金融機関等でのセミナー講演は年間40回以上にのぼる。主な著書に『ドクターのための医院の財産承継&相続パーフェクト・マニュアル』(すばる舎)ほか多数。
https://www.101dog.co.jp/tax/

クリニックを経営するにあたり、毎月の固定的な支出(固定費+借入金返済+生活費)を賄うためにはどれだけの売上が必要なのか、何人の患者を診察すればその売上(収支分岐点売上)に到達するのか、先生方には診療科目ごとに、粗利益率や平均単価について具体的な数字を認識していただく必要があります。

順調な経営を行うためには欠かせない、粗利益率や平均単価といった数字

まず、粗利益とは、診療報酬等の売上金額から薬品・医療消耗品等の売上原価を差し引いた金額を意味します。つまり、診療行為で得られる利益のことです。この粗利益が売上金額に占める割合を、「粗利益率」といいます。

粗利益率は、内科は85.6%、心療内科は94%など、診療科目ごとに平均値が異なるため、自院の診療科目に応じた粗利益率を把握していただく必要があります。次に、収支分岐点売上とは「粗利益=固定的な支出」となる売上を意味します。

収支分岐点売上に到達していれば、クリニックの経営は回っていくことになります。収支分岐点売上に到達するために意識していただきたいのは、売上を構成する要素です。クリニックの売上は「患者数×患者単価×診療日数」という3つの要素で構成されています。

患者単価についても、診療科目ごとに異なってきますので、自院の診療科目の平均単価を把握することが重要になります。
では、次のようなクリニックの場合、収支分岐点売上はいくらになり、その売上に到達するために何人の患者を診察する必要があるのか具体的にみていきましょう。


【Aクリニック 内科】
粗利益率:85.6% 診療日数:20日 平均単価:5,500円 ①固定費 2,500,000円 ②借入返済(税金加味後)380,000円
(借入額50,000,000円 月返済額270,000円)
③生活費(税金加味後)1,100,000円
(実際額800,000円)

Aクリニックは毎月、税金を加味した上での固定的な支出3,980,000円(①~③の合計)が必要になります。この場合の収支分岐点売上は 3,980,000÷85.6%=4,649,532→約4,700,000円 となります。

では、4,700,000円の売上を稼ぎ出すには、いったい何人の患者を診察する必要があるのでしょうか。先ほど申し上げた売上の構成要素をもとに計算すると、4,700,000円÷平均単価5,500円÷診療日数20日=42.7人 となることがわかります。

以上、収支分岐点売上についてご説明してきましたが、開業当初は赤字になることも少なくありません。運転資金は、固定的な支出の2、3カ月分を用意しておいた方がいいといわれることが多いですが、ある程度余裕をもって1,500万円から2,000万円ほど予算取りしておかれたほうがいいでしょう。