専攻医インタビュー

【埼玉/埼玉石心会病院→総合診療科専攻医インタビュー】「“断らない医療”を支える最後の受け皿」救急科、内科と密な連携!マネジメント力を養える

急性期の治療から退院後のケアまで
患者さんと一貫して関わる医療

私がお答えします

【 杉原 宏(すぎはら ひろし) 医師 】
出身地:埼玉県
卒業大学:山梨大学医学部
2021年 埼玉石心会病院(埼玉県)初期研修
2023年 埼玉石心会病院総合診療科専攻医

若手の勢いが増す埼玉石心会病院!総合診療科はオンコールなしで働きやすい環境

埼玉石心会病院を選んだ理由は?

── なぜ総合診療科に興味を持ったのでしょうか

杉原医師: 医学生時代、『総合診療医ドクターG』という番組を見て、総合診療科に興味を持ちました。番組内では、著名な総合診療医が症例を提示して、症例に対して研修医が診断を探ります。研修医が当然知っておくべき症例もあれば、「なんじゃそりゃ!」と驚くような難解なものもありました。先生方のディスカッションを見て、「総合診療医ってかっこいい!」と憧れ、総合診療の道を志すようになりました。
加えて、私はもともと患者さんとの会話が好きでした。それに自分でいろいろ考えて診療することにも興味があって、総合診療医を志望するようになりました。

── 初期研修から埼玉石心会病院にいらっしゃいますね。マッチング当時、病院探しで大切にしていたことを教えてください

杉原医師: マッチング当時から総合診療科が本命だったので、基本的には総合診療科の専攻医になれる病院がいいなとは思っていました。他にこだわった点として、救急をしっかり学べることがあります。医学生のころから、初期研修で救急の基礎をしっかりつくることがキャリアの今後に活きるとの考えを持っていました。それで、救急にどっぷり関われる病院を希望しました。
もう一つ大切したのは、同期の研修医の人数です。多すぎても少なすぎてもデメリットがありそうだったので、これくらいの人数の病院を探していました。

── 立場が研修医から専攻医になって、どのような点が大きく変わったように思いますか

杉原医師: 研修医のときは、主治医となる先生がいて、自分は担当医の一人として患者さんに関わっていました。専攻医になると、自分が主治医としてある意味患者さんとご家族にたくさんのおせっかいをできるようになったのかなと思っています。自分がメインで患者さんやキーパーソンともお話しします。「あぁ、患者さんは、このような背景をお持ちだったのか」と気づくことも多くなり、研修医時代は見えなかった世界が広がった反面、主治医になることで責任の重さも感じています。

専攻医になってから、研修医の手技をサポートしている

── 総合診療医が専門外来を担当することはあるのでしょうか

杉原医師: 当院の総合診療科は外来を持っておらず、内科系の外来にも入りません。基本的には救急外来で入院が必要と判断された患者さんと地域連携施設からの紹介患者さんを受け持つ形です。

── 埼玉石心会病院は救急に強い病院とのイメージを持つ医師も多いと思います。救急との連携はどのようにしているでしょうか

杉原医師: 当院は年間約1万件の救急車プラス1万4千件のWalk-in患者さんを受け入れておりますが、救急科としてはベッドを持っていないので、初療対応後、入院が決まった患者さんを、各診療科と総合診療科が協力して担当します。
総合診療科に振り分けられる疾患は、当院標榜の専門科がない疾患全般でざっくり言えば、循環器、消化器、腎臓以外の疾患を全部引き受けています。
合併症が多岐にわたり、単科での診療が難しい患者さんも総合診療科が主科となって担当します。
ちなみに救急科から当科へのコンサル件数としては、日中2~3件、夜間明けの入院5~6件程度です。

── では、各内科との連携の機会は多いのではないでしょうか

杉原医師: はい。私たち総合診療科は、内視鏡やカテーテルを得意としません。必要があれば、循環器内科や消化器内科をはじめ各専門の先生に相談しています。私の担当患者さんが入院後、消化管出血の症状が出た場合「入院当初の検査で消化器に腫瘍は見つからなかったけど、やっぱりそっちが怪しいんじゃない?」となれば消化器内科の先生に相談することになります。そういうケースはしばしばあるので、やはり連携は欠かせません。

総合診療科専門研修プログラムの内容は?症例は多い?

── 総合診療科の病床は何床でしょうか

杉原医師: 多いときで60床くらいです。

── 総合診療科の約60床はチーム制で診ているのでしょうか。それとも主治医制でしょうか

杉原医師: 基本的には主治医制です。専門医以上の先輩3名と専攻医以下3名で振り分け、その約60床を診ています。私は10~15人の主治医になっています。多いときは20人ほどを診ていましたね。
夜間のコールは全て内科当直医が受けています。

── 治療方針の共有はカンファレンスで行っているのでしょうか

杉原医師: はい。毎朝、カンファレンスがあって、新しい入院患者さんの情報共有をしています。入院患者さんの経過に懸念がある場合も、この場で報告・相談します。とにかく、何らかの行き詰まりはカンファの場でピックアップし、話すようにしています。

── 総合診療科の専攻医は手技を頻繁に行うのでしょうか

杉原医師: 当科は疾患の守備範囲が広く、様々な手技を行う機会があります(CVC挿入、PICC挿入、Aライン挿入、気管挿管、胸腔穿刺、骨髄穿刺、胃婁増設、気管切開など)。研修医時代は、Aライン挿入に苦手意識がありましたが、経験を積むにつれて少しずつコツがつかめてきました。
今は後進の手技のサポートに重きを置きつつ、自身の手技もブラッシュアップしています。

── 総合診療専門研修プログラム3年間の予定を教えてください

杉原医師: 1年目は当院で学びました。2年目は熊谷生協病院で3カ月小児科などを学び、9月から宮古島徳洲会病院で総合診療Ⅰを学ぶ予定です。3年目は当院で内科と総合診療Ⅱを学ぶ予定です。

── 訪問診療はすでに始まっていますか

杉原医師: 初期研修の「地域研修」当時から、指導医と一緒に自宅で往診をしていました。専攻医1年目6月からは、月1ペースで訪問診療するようになりました。訪問診療は、毎週金曜日の午後、当院と連携する「さやま地域ケアクリニック」で行っています。この訪問診療では、私を含めた当院総合診療科の医師で当番を回す流れです。
現在は一人で訪問診療をしています。一人で行く初回は緊張しましたが、今は困ることもなくなりました。気切交換や膀胱ろうの交換などもやっていますよ。

── さやま地域ケアクリニックの訪問診療は1日に何件くらい回っているのでしょうか

杉原医師: だいたい5~6件です。ドライバーさん、看護師さんとともに、患者さんのご自宅にお伺いしています。
さやま地域ケアクリニックの訪問診療の特徴としては、ご高齢の方が多く、症例としては末期のがん、神経疾患をよく診ています。

指導体制と職場の雰囲気は?

── 院内の雰囲気はいかがでしょうか

杉原医師: ここ数年は研修医からそのまま専攻医として残る若手が増えています。若者の勢いがありますね。あとは他科の先生も相談しやすく、非常に働きやすい環境です。 若手もいますが、医師歴が圧倒的に上の専攻医も当科には在籍しています。形成外科の専門医をお持ちの為、専門領域(特に、高齢者の褥瘡に対する知識と手技)に関してはハイレベルでとても勉強になります。

── コメディカルの方との距離感や雰囲気はいかがでしょうか

杉原医師: 週1回は多職種の退院支援カンファがあって、看護師さん、薬剤師さん、栄養士さん、リハビリ担当さん、ソーシャルワーカーさんなどと密に話しています。カンファは活気があって、雰囲気もいいと思います。

── 院内・学会・県内などの勉強会はありますか

杉原医師: 特に勉強会はありません。

1日のスケジュールは?当直と夜間オンコール当番は月何回?

── 1日の勤務スケジュールを教えてください

杉原医師: 埼玉石心会病院と、外部医療機関の熊谷生協病院の1日をご紹介します。

埼玉石心会病院
7:30 病院到着、カルテチェック
8:30 カンファレンス
9:15 回診
11:45 昼食
12:30 カルテ記載、書類仕事
17:30 退勤

1Fホールディングルームにて患者情報のチェックを行う

杉原医師: 水曜日は、地域連携や院内の他科からのコンサルト番をしています。木曜日は研修医レクチャーと退院支援カンファレンスに入っています。

── よく病院に残って勉強をしていますか

杉原医師: 18時ごろまで残って勉強することはあります。私は同期の目を気にするタイプなので、夜遅くまで病院に残って勉強することはありません(笑)。

熊谷生協病院
8:20 病院到着
8:30 小児外来、転院相談
12:00 昼食
13:00 予防接種、健診
17:10 退勤

杉原医師: 熊谷生協病院には、小児の入院ベッドがありません。外来で入院が必要な患者さんを担当した際は、適切な病院への転院相談をします。1歳半健診などといった健診関係のことにも携わっています。健診は本格的に自分がやることは少なく、見学的な関わり方です。勤務としては小児科研修なのですが、業務時間内で一般病床も診ていますね。

── 当直は月に何回ありますか

杉原医師: 内科当直が月1、2回、救急当直が月2回程度回ってきます。日曜日・祝日の当直は数カ月に1回間隔で受け持っています。

── 救急当直にも入るのですね

杉原医師: 総合診療科の専門研修プログラムは、救急科での3カ月が必修です。救急当直はそれを意識し、勘が鈍らないトレーニングの意味合いも含めて入らせてもらってます。ただ救急当直は、あくまで総合診療科の専攻医としての当直です。一人で当直をするようなことはなく、必ず救急科常勤医とセットで入っています。

── 当直明けの勤務時間はどのようになっているでしょうか

杉原医師: 12時半~13時まで勤務しています。よっぽどのことがなければ、午後遅くまでは残りません。

── 夜間オンコールはありますか

杉原医師: 基本的には内科当直医が対応するので余程の事態でなければ主治医に連絡がいくことはありません。

病院周辺は過ごしやすい?

── 通勤はいかがでしょうか

杉原医師: 実家が当院から近いのですが、専攻医になるタイミングで一人暮らしを決め、電車通勤するようになりました。研修医時代、自宅で勉強時間を捻出するのが難しく、電車通勤の時間を利用して勉強するようにしたのです。自宅は通勤ラッシュと逆向きの方向なので快適に通勤と勉強ができています。

―― 周辺の生活環境としてはいかがでしょうか

杉原医師: なにかあれば、近場には川越やアウトレットがあって便利ですよ。新宿も電車1本でいけるので、不便は感じません。

埼玉石心会病院の魅力と長所

―― 専門研修プログラムを通してあらためて感じた埼玉石心会病院の長所はどこでしょうか

杉原医師: 当院は、救急搬送件数が多いので、いろいろな症例に触れられることが長所だと思います。それに、専攻医にも大きな裁量権を与えられ多くの症例と向き合えます。自然に「症例を考え抜く力」「退院までのマネジメント力」が鍛えられます。

専攻医2年目を迎え、大きな裁量権を持つようになったという

── 杉原先生はどのようなときにご自身の成長を感じるでしょうか

杉原医師: 例えば、入院時に診断名をつけられた患者さんがいたとします。研修医のころは何もわからなかったのですが、現在では診断名がついた時点で今後の経過がわかるようになりました。「何日目くらいにはこうなって、次にこうなって」という具合です。経過が良好でなければ、それがなぜかと、いくつか合併症を思い描けるようになっています。これはそれなりに、経験を積ませてもらったからのことでしょう。経過が順調でなければ、ご家族への説明もします。説明時に、退院後の段取りも話せるようになったと思います。
がん患者さんへの対応では、マネジメント力が求められます。当院総合診療科では、疑わしいがんが見つかることがよくあります。そのような場合は、患者さんのご自宅の立地、がんの性質に合わせ、適切な検査・診断をするための病院を紹介しています。このようなことができるようになったのも、経験を積んでのことだと思います。

── 専門研修プログラム修了後の展望を教えてください

杉原医師: 急性期の患者さんを診療し続けたいと思っています。それが叶う規模の病院で働きつつ、ずっと興味を持っている集中治療の経験も深めていきたいですね。

── 最後に埼玉石心会病院を検討している後輩に向けてアドバイスをお願いします

杉原医師: 当院の総合診療科は、他科で引き受けにくい症例を一手に引き受ける、いわば受け皿のような役割があります。当院の掲げる「断らない医療」この断らない医療を下支えするのが当院の総合診療科なのだと思っています。
当院の総合診療科はこのようなポジションですが、病院によって役割はさまざまです。当院でなくても、総合診療科に興味があれば、大学病院、市中病院問わず見学してみて欲しいですね。

―― 杉原医師、ありがとうございました。

専攻医・シニアレジデント研修時の処遇

総合診療科募集人員
2名
勤務時間(定時)
平日 8:30~17:00
土曜 8:30~12:30
当直
週1回、原則病棟当直(月2~4回)
翌日明け休みあり
給与
専攻医1年次:
月給 634,040円/年収 8,326,560円
専攻医2年次:
月給 787,380円/年収 10,209,320円
専攻医3年次:
月給 802,230円/年収 10,417,220円

手当:日当直手当を別途支給
賞与:年2回(夏季・冬季)
※月給は当院社宅規定による賃料補助制度を利用した場合の金額
※年収は上記月給に賞与を加えた金額

 

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